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## 派遣の人妻、慰安旅行で「つまみ食い」？

都市の喧騒から少し離れた、静かな港町。潮風が頬を撫で、カモメの鳴き声が響く。その町の一角にある、古びた温泉旅館。ここが、今夜の「慰安旅行」の舞台だ。

主役は、派遣社員として働く人妻たち。彼女たちは、普段はそれぞれ異なる会社で、決まった時間だけ働き、家庭へと帰っていく。正社員のような責任の重さや、終わりの見えない残業とは無縁。しかし、その気楽さゆえに、社会的な立場や将来への不安を抱える者も少なくない。

「あー、やっと来れたわね！会社にいると、もう毎日が戦場みたいだったから」

そう言って、大きなスーツケースを引きずってきたのは、派遣社員歴５年目の香織（３０歳）。夫と子供が二人おり、家事と育児をこなしながら、週に４日、事務の仕事をしている。

「本当にね。しかも、今回の旅行、部長が『日頃の感謝を込めて』なんて言って、全部会社持ちなんだから。太っ腹じゃない？」

隣で、香織に寄り添うように歩いてきたのは、派遣社員歴３年目の美咲（２８歳）。彼女もまた、家庭を持ち、パートタイムで働いている。

「でも、部長って、私たちが派遣ってこと、ちゃんと理解してるのかしら？なんか、いつも上から目線っていうか…」

香織がため息交じりに言うと、美咲は「まあ、気にしない気にしない！せっかくの慰安旅行なんだし、楽しもうよ！」と、明るく励ました。

旅館に到着すると、出迎えてくれたのは、今回の旅行を企画した総務部の部長、佐藤（５０歳）。恰幅の良い体格で、見るからに「権力者」といった雰囲気だ。

「皆さん、ようこそいらっしゃいました。日頃の皆さんのご尽力には、本当に感謝しております。今日は、日頃の疲れを癒し、心ゆくまで楽しんでください」

佐藤部長の挨拶に、派遣社員たちは一斉に拍手をした。しかし、その表情には、期待よりも、どこか不安の色が混じっているようにも見えた。

部屋に案内され、早速浴衣に着替えると、宴会場へと向かう。テーブルには、色とりどりの料理と、湯気の立つ鍋が並んでいた。

「さあ、皆さん、遠慮なく召し上がってください！今日は、特別に、普段はあまり飲まないようなお酒も用意しましたから」

佐藤部長の言葉に、派遣社員たちは乾杯の音頭を取った。しかし、その場の空気は、どこかぎこちない。皆、本当の「慰安」というよりは、仕事の一環として参加しているような、そんな雰囲気が漂っていた。

宴もたけなわになり、佐藤部長が突然、皆に尋ねた。

「ところで皆さん、普段、ご家庭ではどんなことをして過ごしていますか？奥さん方は、旦那さんのために、毎日色々と大変でしょう？」

その質問に、派遣社員たちは顔を見合わせた。皆、家庭のことは、あまり他人には話したくない話題だった。

「まあ、私は…主人のために、毎日栄養バランスの取れた食事を作るように心がけていますわ」

一番年上の派遣社員、紀子（３５歳）が、控えめに答えた。

「えー、紀子さん、偉いですね！私は、もう、夫のことは諦めてますわ（笑）」

美咲が冗談めかして言うと、会場は一瞬、笑いに包まれた。しかし、その笑いの裏には、派遣社員という立場への諦めや、家庭での満たされない思いが、滲み出ているようだった。

「諦めてる、か。でも、たまには、旦那さんを『甘やかして』あげるのも、いいんじゃないかな？」

佐藤部長が、意味深な笑みを浮かべながら、美咲に言った。その言葉に、美咲は顔を赤らめ、視線を落とした。

宴も終盤に差し掛かり、佐藤部長が突然、皆に提案した。

「ところで、今日はせっかくの慰安旅行ですから、皆さんの『隠された才能』とでも言いますか、普段見せない一面を、披露してもらえませんか？例えば、歌とか、ダンスとか…」

その提案に、派遣社員たちは顔を見合わせた。誰一人として、積極的に名乗り出る者はいなかった。

「でも、部長、私たち、そんな特技なんて…」

香織が遠慮がちに言うと、佐藤部長は「いやいや、きっと素敵な一面があるはずですよ。私たちが知らないだけで」と、無理やり促すような口調で言った。

結局、佐藤部長の押しに負けて、数人の派遣社員が、しぶしぶ歌を披露することになった。しかし、その歌声も、どこか元気がない。

その時、佐藤部長が、突然、皆に耳打ちするように言った。

「実はね、今回の旅行、皆さんの『リフレッシュ』のためだけじゃないんです。皆さんに、もっと『開放的』になってほしくて、特別に企画したんですよ」

その言葉の意味するところを、誰もが理解できなかった。しかし、佐藤部長の妖しげな笑顔に、皆、不安を感じ始めていた。

宴が終わり、各自の部屋へと戻る時間になった。しかし、佐藤部長は、香織と美咲を呼び止めた。

「香織さん、美咲さん。今日は、もう遅いから、部屋で『二次会』でもどうですか？」

その言葉に、香織と美咲は顔を見合わせた。彼女たちの心臓は、早鐘のように鳴り始めた。

「で、でも、私たちは…」

香織が言葉に詰まると、佐藤部長は、二人の肩に手を回し、さらに耳元で囁いた。

「大丈夫、大丈夫。派遣社員の皆さんには、普段、色々と我慢してもらっている分、ちょっとくらい『つまみ食い』したって、誰も咎めないよ」

その言葉は、まるで麻薬のように、二人の心を惑わせた。派遣社員という立場への不満、家庭での満たされない思い、そして、目の前にある「誘惑」。

もしかしたら、この「慰安旅行」は、彼女たちにとって、普段の生活では決して味わうことのできない、危険な「ご褒美」なのかもしれない。

（この後、彼女たちがどのような選択をするのかは、読者の想像に委ねられる）