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## 派遣の人妻、慰安旅行の夜

山田花子、32歳。結婚して5年、夫とは良好な関係を築いている。パートタイムの派遣社員として、週に3日、午前中だけ事務の仕事をしている。仕事量は少なく、拘束時間も短い。自由な時間が多いことが、結婚後も派遣社員を続ける一番の理由だった。

「ねぇ、今度の慰安旅行、誰と行くか決まった？」

同僚の佐藤さんが、ランチ休憩中に声をかけてきた。佐藤さんは花子と同じ派遣社員で、いつも明るく、気さくな人だ。

「まだ決まってないみたいだけど、誰と行きたい？」

花子は微笑んで答えた。慰安旅行は、会社が年に一度、社員の親睦を深めるために企画しているものだ。派遣社員も参加できるが、普段は正社員とはあまり交流がない。

「うーん、やっぱり部署が近い〇〇さんと一緒に行きたいな。あと、△△さんも話してて面白いから！」

佐藤さんは目を輝かせた。花子も、慰安旅行は普段話す機会のない人たちと交流できる良い機会だと思っていた。

数日後、慰安旅行のメンバーが決まった。花子は、佐藤さんの希望通り、〇〇さんと△△さんと一緒のグループになった。その他にも、数人の派遣社員と、一部の正社員も同じグループに割り当てられていた。

旅行先は、都心から車で2時間ほどの温泉旅館だった。初日は、午前中に現地に到着し、昼食を挟んで午後は自由時間。夕食後には、宴会が予定されていた。

旅館に到着すると、早速部屋に荷物を置く。花子たちのグループは、皆で集まって話すこともなく、それぞれ思い思いに時間を過ごしていた。花子も、部屋で少し横になったり、旅館の庭を散策したりして過ごした。

夕食の宴会が始まった。テーブルには、地元の食材を使った豪華な料理が並ぶ。ビールや日本酒も豊富に用意されており、皆、早速お酒を飲み始めた。

「乾杯！」

宴会部長の〇〇さんが音頭を取り、皆でグラスを掲げた。花子も、久しぶりに飲むお酒に、少し顔を赤らめていた。

「花子さん、いつもお仕事お疲れ様です。今日は楽しんでくださいね。」

隣に座っていた△△さんが、優しく声をかけてきた。△△さんは、花子より少し年上の派遣社員で、いつも落ち着いた雰囲気の人だ。

「ありがとうございます。△△さんも、今日はゆっくりしてくださいね。」

花子は笑顔で答えた。宴会は和やかな雰囲気で進んでいった。仕事の話をしたり、趣味の話をしたり、皆で笑い合ったり。普段はあまり接することのない正社員とも、この時ばかりは気軽に話すことができた。

宴会も終盤に差し掛かった頃、誰からともなく「二次会に行こう！」という声が上がり始めた。花子も、もう少し皆と話したいと思っていたので、賛成した。

二次会は、旅館のバーで行われた。薄暗い照明の中、ジャズの生演奏が流れている。花子たちは、窓際の席に陣取り、さらに会話を深めていった。

「そういえば、花子さんって、結婚されてるんですよね？」

△△さんが、ふとそんな質問をしてきた。

「はい、そうです。」

花子は素直に答えた。

「旦那さんとは、どうやって知り合ったんですか？」

「大学のサークルで一緒でした。卒業してから、そのままお付き合いして…。」

花子は、夫との馴れ初めを話した。△△さんは、花子の話に真剣に耳を傾けてくれた。

「いいですね、そういうの。私も、いつかそんな素敵な出会いをしてみたいです。」

△△さんは、少し寂しそうに微笑んだ。

「きっと、△△さんにも素敵な出会いが訪れますよ。」

花子は、△△さんの肩にそっと手を置いた。その時、花子の携帯電話が鳴った。夫からだった。

「ごめんね、ちょっと電話に出てもいい？」

花子は、△△さんに断りを入れて、席を立った。

「もしもし？」

「花子？どうしたの？もう寝る時間なのに。」

夫の声に、花子は少し guilt を感じた。

「ごめんね、今、慰安旅行で、皆で二次会してるの。」

「へぇ、楽しそうだね。声、少し酔ってるみたいだけど。」

「ちょっとね。でも、もうすぐ部屋に戻るから。」

「分かった。気をつけてね。あまり遅くまで飲まないで。」

「うん、ありがとう。おやすみなさい。」

電話を切ると、花子はため息をついた。夫に嘘をついているわけではないが、なんだか後ろめたい気持ちになった。

部屋に戻ると、いつの間にか皆、酔いが回っていた。佐藤さんは、もう眠ってしまっている。花子も、少し疲れていたので、ベッドに横になった。

しかし、なかなか寝付けない。先ほどの△△さんの言葉が、頭の中でぐるぐると巡っていた。

「私も、いつかそんな素敵な出会いをしてみたいです。」

花子は、夫との結婚生活に満足していた。しかし、△△さんの言葉を聞いていると、自分も、もしかしたら、もっと刺激的な出会いを求めているのかもしれない、と思った。

ふと、部屋のドアがノックされた。誰だろう？こんな時間に。

花子がドアを開けると、そこに立っていたのは、〇〇さんだった。

「あ、花子さん。まだ起きてたんだ。」

〇〇さんは、少し酔っているようだった。

「はい、まだですけど…。」

「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな？」

〇〇さんは、花子の部屋に踏み込んできた。花子は、少し戸惑った。

「え、えっと…。」

「いや、その…」

〇〇さんは、花子の顔をじっと見つめた。そして、突然、花子の手に触れた。

「花子さん、綺麗だね。」

花子は、心臓がドキドキするのを感じた。〇〇さんは、普段から花子に好意を持っているような素振りを見せていた。

「あの、〇〇さん、私…」

花子は、言葉を詰まらせた。〇〇さんの手が、花子の腕を撫でる。

「大丈夫だよ。誰も見てないから。」

〇〇さんの言葉に、花子は一瞬、抗えない衝動に駆られた。結婚していること、夫がいること。それらが、一瞬、遠い世界のことのように思えた。

この夜、何が起こったのか。それは、花子自身にも、そして、この文章を読んでいるあなたにも、明確には語ることはできない。ただ、この「慰安旅行」が、花子にとって、そして、他の派遣社員たちにとって、後々まで語り継がれるような、ある意味「流出」するような出来事の始まりだったことは、間違いなかった。

「いつでも『切れる』からこそ、ちょっとのつまみ食いはOKとでも思っているのか？」

この文章の冒頭にあった言葉が、花子の脳裏に蘇る。派遣社員という立場。それは、自由な時間を与えてくれる一方で、ある種の「不安定さ」も内包しているのかもしれない。その「不安定さ」が、時に、道を踏み外すきっかけになってしまうのだろうか。

花子は、この夜、自分自身の中にある「脆さ」と向き合うことになった。そして、その「脆さ」が、彼女の人生に、どのような波紋を広げていくのか、それはまだ、誰にも分からない。