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薄暗い部屋。由希は椅子にぎこちなく腰かけて、身を硬くしていた。彼女の足首には皮革製のストラップが巻かれ、椅子に固定されていた。

目の前には、表情を隠すマスクをつけた男が立っていた。彼の手に握られた電動歯ブラシが、静かに唸り声を上げていた。

「さあ、始めようか」と男は囁くように言った。

男が由希の足の裏に歯ブラシの先をあてると、彼女は思わず身をよじった。「ふっ、やめて！」

「まだ序の口だよ」と男は笑った。「もっと楽しませるよ」

次々と歯ブラシが、由希の敏感な首筋、耳たぶ、脇腹を刺激していく。彼女は必死に耐えようとするが、くすぐったさは耐え難いほど強まっていた。

「くすくすくすくす…」由希は笑い声を漏らさずにはいられなかった。

男は満足そうにうなずき、手と歯ブラシを巧みに使って、由希の体を徹底的にくすぐった。彼女の身体は笑い声とくすり笑いで揺れ動き、涙まで流れていた。

「お願い…やめて…」由希は懇願するが、男は容赦なく彼女をくすぐり続けた。

時間経過とともに、由希の抵抗は弱まっていった。彼女はただ、くすぐったい刺激に身を委ねるしかなかった。

「くすぐったい…もうだめ…」

ついに、由希は我慢の限界に達した。彼女の全身が震え上がり、椅子から転げ落ちそうになった。

男はようやく手を止めた。由希は床にうずくまり、息を切らしながら涙をぬぐっていた。

「いかがだったかい？」と男は尋ねた。

由希は彼を見上げた。「もうくすぐらないで…」

男は優しく微笑んだ。「いい子だったね。また遊ぼう」

男は部屋から出て行くと、由希は一人きりになった。彼女はゆっくりと立ち上がり、震える足取りで部屋を後にした。

帰宅後、由希は鏡に映った自分を眺めた。彼女の体はあちこちが赤くなっていた。それは、くすぐったさの痕だった。

彼女はため息をついた。それは恥ずかしい体験だったけれど、どこか後を引くようなものだった。

あの瞬間、彼女は自分を見失っていたような気がした。ただ、くすぐったさに身を任せていた。

あれは、なんだったんだろう？

由希には、それが答えられなかった。