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## 触れ合う指先、吐息の奥

「ねぇ、拓也くん。ちょっと、こっち来てよ」

静かなバーの片隅。グラスを傾けながら、沙織が俺に声をかけた。彼女の瞳は、いつもと変わらず妖艶で、だが、どこか影を帯びているようにも見えた。

「なんだよ、沙織。急に」

俺は彼女の隣に腰を下ろしながら、ウイスキーの琥珀色を静かに見つめた。彼女との関係は、もう何年になるだろうか。互いに、恋人でもなく、友人でもない。ただ、このバーで、時折、こうして密かに会っている。

「あのね…拓也くん。私、最近、ちょっと悩んでることがあって…」

沙織はグラスを置き、指先で氷を弄び始めた。その細い指が、グラスの中で氷を掻き回す音だけが、静寂を破る。

「悩んでること？ 珍しいな、お前が悩むなんて」

俺はからかうように言ったが、沙織の表情は真剣だった。

「だって、だってさ…」

彼女は言葉を探すように、俺の顔をじっと見つめる。その視線に、俺は少し戸惑いを感じた。

「私、最近、男友達と、その…そういう関係になっちゃって…」

「は？ 浮気かよ」

俺は思わず吹き出した。沙織は、俺とは違う男と、そういう関係になっているらしい。

「だって、浮気じゃないんだもん！ 彼はね、私に『フェラだけなら浮気にはならないよ』って言ったの！」

沙織は、ął然とした口調で言った。その言葉に、俺はさらに混乱した。

「どういうことだよ、それ。フェラだけって…」

「そうなの！ だから、全然罪悪感とか、そういうのがなくて…」

沙織は、まるで子供のように無邪気に笑った。その笑顔に、俺はさらに戸惑いを深める。

「いや、でもさ…」

「でも、でもなんだよ！ 彼はね、すっごく上手いの！ 『ココでしょ？ ほら…分かってるんだからぁ』って、絶妙な吸引力で…」

沙織は、身振り手振りで、その「絶妙な吸引力」を表現しようとした。その仕草に、俺は思わず息を呑む。

「焦らすような舌の動き…締め付け…ストローク無限大！ これぞ、フェラチオフレンズ！ って、彼が言ってた！」

沙織は、興奮したように捲し立てた。その言葉の端々に、俺は想像を絶する光景を思い描く。

「我慢汁垂れ流しっぱなしで、チンポが乾かないこと間違いなし！ だって！」

沙織は、最高潮に達したかのように、恍惚とした表情を浮かべた。その表情に、俺は、彼女がどれほど「楽しんでいる」のかを悟った。

「それで…拓也くん。あなたは、口マンコと下マンコ、どっちが良い？」

沙織は、突然、俺に問いかけた。その問いに、俺は、何と答えて良いか分からなくなった。

「え？ なんだよ、急に…」

「だって、彼はどっちも得意なんだもん！ 私、どっちも体験したけど、どっちも最高なの！」

沙織は、さらに畳み掛けるように言った。その言葉に、俺は、彼女の「体験」の深さを知った。

「でもさ…」

俺は、何とか言葉を絞り出した。

「でも、それは…浮気なんじゃないか？」

「ううん、浮気じゃないの！ だって、私、彼のこと、好きじゃないもん。ただ、彼が上手いだけ。それだけなの」

沙織は、きっぱりと言った。その言葉に、俺は、彼女の「割り切り方」に、ある種の感銘すら覚えた。

「だから、拓也くんも、私と…そういう関係になっても、浮気じゃないんだよ？」

沙織は、俺の顔を覗き込むように言った。その瞳は、まるで、俺の心を試しているようだった。

俺は、グラスに残ったウイスキーを、一気に飲み干した。喉が焼けるような熱さを感じた。

「…分かったよ」

俺は、そう答えるしかなかった。

沙織は、満足そうに微笑んだ。その笑顔に、俺は、もう、逃れることはできないと悟った。

バーの喧騒が、遠くで聞こえる。俺たちの間には、言葉にならない緊張感が漂っていた。

「じゃあ…拓也くん。私の、口マンコ、体験してみる？」

沙織は、誘うように言った。その言葉に、俺は、抗うことができなかった。

俺たちは、静かに立ち上がり、バーを出た。街の明かりが、俺たちの影を長く伸ばす。

俺は、沙織の手を引いた。その手は、少し冷たかった。

俺たちは、どこへ向かうのか、自分でも分からなかった。ただ、沙織の「言葉」に、俺は、抗うことができなかった。

この夜、俺たちは、互いの「境界線」を越えていく。それが、浮気なのか、そうでないのか。そんなことは、もう、どうでも良かった。

ただ、沙織の「絶妙な吸引力」と、「焦らすような舌の動き」に、俺は、身を委ねるだけだった。