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**団地の午後**

N市郊外に広がる大規模団地、ひまわり団地。築30年を超えるその場所は、かつては憧れの住まいだったが、今ではどこか時代に取り残されたような、静けさに包まれた場所だった。棟と棟の間を縫うように走る風は、洗濯物を揺らし、子供たちの遊ぶ声だけが、その静寂を破っていた。

そんな団地の一角に、一人の男が立っていた。名前は亮太。30代前半、清潔感のある服装に身を包み、物憂げな表情で周囲を見渡している。彼は、この団地に住む若い母親たちをターゲットに、ある計画を立てていた。

亮太の目に留まったのは、2号棟に住む美咲という女性だった。まだ20代後半だというのに、どこか疲れた表情を浮かべている。小さな子供を抱え、買い物袋を提げたその姿は、まさに団地に住む若い母親の典型だった。

「美咲さん…か。あんな可愛い奥さんが、こんな団地に閉じ込められているなんて、もったいないな」

亮太は、美咲の姿を心に焼き付け、計画を実行に移すことにした。まずは、彼女の生活パターンを把握することから始めた。毎朝、子供を保育園に送り、夕方には買い物に出かける。そんな彼女の行動を、亮太は注意深く観察した。

数日後、亮太は美咲がいつも利用する駐輪場で、彼女を待ち伏せすることにした。夕暮れ時、買い物袋を提げた美咲が駐輪場に現れた。

「あの…美咲さん、ですよね？」

亮太は、優しげな笑顔で彼女に話しかけた。美咲は、警戒したように亮太を見つめ返した。

「はい、そうですけど…どちら様ですか？」

「ああ、すみません。僕は亮太といいます。実は、美咲さんのことを何度か見かけたことがあって…」

亮太は、少し間を置いてから、言葉を続けた。

「あの…もし差し支えなければ、少しだけお話でもしませんか？美咲さん、いつも大変そうなので、何かお手伝いできることがあればと思って…」

美咲は、亮太の言葉に少しだけ心を許したようだった。

「お手伝い…ですか？まあ、確かに、毎日バタバタで…誰かとゆっくり話す時間もないですし」

「それなら、少しだけ。近くの公園で、お茶でも飲みながら、話しませんか？」

美咲は、少し考えた後、頷いた。

「…わかりました。少しだけなら」

二人は、近くの公園に向かった。夕暮れの公園は、子供たちの遊ぶ声が響き、どこか懐かしい雰囲気に包まれていた。亮太は、美咲にコーヒーを差し出し、優しく話しかけた。

「美咲さんは、いつも大変そうですね。旦那さんは、何か手伝ってくれないんですか？」

美咲は、少し寂しそうな表情を浮かべた。

「主人は仕事が忙しくて、ほとんど家にいないんです。だから、育児も家事も、ほとんど私一人でやっています」

「それは大変ですね。でも、美咲さんは、いつも笑顔で頑張っていますね。本当に尊敬します」

亮太の言葉に、美咲は少し照れたように微笑んだ。

「ありがとうございます。でも、本当は、私もたまには息抜きがしたいんです。でも、なかなか時間がなくて…」

亮太は、美咲の言葉を逃さなかった。

「それなら、僕がお手伝いしますよ。美咲さんが息抜きできるような、何か楽しいことを企画します。例えば、美味しいレストランに連れて行ったり、映画を見に行ったり…」

美咲は、少し戸惑ったように亮太を見つめた。

「そんな…悪いですよ。それに、主人に知られたら…」

「大丈夫です。誰にも言いません。それに、これはあくまで、僕が美咲さんを助けたいという気持ちなんです。美咲さんが笑顔になれるなら、僕はどんなことでもします」

亮太の真剣な眼差しに、美咲は心を奪われた。久しぶりに感じるトキメキが、彼女の心を揺さぶった。

「…わかりました。少しだけ、亮太さんに甘えてみようかな」

その日から、亮太と美咲は、秘密のデートを重ねるようになった。亮太は、美咲を高級レストランに連れて行ったり、話題の映画を見に行ったり、彼女が日頃のストレスを忘れられるような、楽しい時間をプレゼントした。

美咲は、亮太との時間に、忘れかけていた女性としての喜びを感じていた。夫との倦怠期、育児の疲れ、そんな日々のストレスから解放され、彼女の心は、まるで少女のようにときめいていた。

しかし、二人の関係は、徐々に危険な方向へと向かっていた。亮太は、美咲の心だけでなく、体も求め始めたのだ。

ある日、亮太は美咲を自分のマンションに誘った。最初は戸惑っていた美咲だったが、亮太の熱烈なアプローチに、ついに抵抗できなくなった。

マンションの一室で、二人は激しく抱き合った。亮太は、美咲の服をゆっくりと脱がし、彼女の肌にキスを落とした。美咲の体は、久しぶりの刺激に震え、彼女の口からは、抑えきれない嬌声が漏れた。

二人は、お互いの体を求め合い、激しく愛し合った。美咲は、夫とのセックスでは感じられなかった快感に身を委ね、亮太に全てを捧げた。

その日を境に、二人の関係は、さらにエスカレートしていった。亮太と美咲は、昼下がりの団地の空き部屋や、近所のラブホテルで、何度も体を重ねた。

美咲は、亮太との関係に溺れていく自分を止められなかった。彼女は、妻として、母としての立場を忘れ、ただ亮太との快楽に身を委ねていた。

しかし、そんな日々が長く続くはずもなかった。ある日、美咲の夫が、亮太との関係に気づいてしまったのだ。

夫は、激怒し、美咲を激しく責め立てた。美咲は、夫に泣きながら謝罪したが、夫の怒りは収まらなかった。

結局、美咲は夫に離婚を言い渡され、子供とも離れ離れになってしまった。亮太も、美咲から連絡を絶ち、姿を消してしまった。

一人ぼっちになった美咲は、団地を去り、新しい生活を始めることになった。しかし、彼女の心には、深い傷跡が残されていた。

ひまわり団地の午後は、今日も静かに過ぎていく。しかし、あの駐輪場には、もう美咲の姿はない。そして、あの時、彼女の心を奪った男の姿も…。ただ、夕焼けに染まる団地の壁が、あの日の出来事を静かに見守っているだけだった。

（この物語はフィクションであり、特定の人物や団体を誹謗中傷するものではありません。）