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## 禁断の湯けむり

湯けむりが立ち昇る、山奥の秘湯。彩子は、夫である健一の会社関係の集まりに無理やり同行させられた。ここ数年、夫婦の関係は冷え切っていた。健一は仕事に没頭し、彩子への関心は薄れる一方。毎晩、冷たいシーツを隔てて眠る日々が続いていた。

そんな彩子の目に留まったのが、健一の部下である涼介だった。涼介は、艶やかな黒髪に切れ長の瞳、そして何よりも、彩子にだけ向けられる熱い眼差しを持っていた。その視線が、彩子の心の奥底に眠っていた情欲の炎を静かに燃え上がらせた。

「彩子さん、ちょっといいですか？」

夕食後、涼介は彩子に声をかけた。夫の健一は、他の社員と談笑しており、彩子には目もくれなかった。涼介の誘いに、彩子は抗うことができなかった。

「温泉、気持ちいいですね」

涼介は、露天風呂で彩子に優しく語りかけた。湯けむりでぼやけた涼介の顔が、彩子の心をさらに蕩かしていく。身体を密着させたまま、二人は水面を揺らすほど激しく絡み合った。湯けむりの中で、二人の肌は熱を帯び、愛液が湯に溶け込んでいく。彩子は、夫以外の男と、こんなにも激しく求め合う自分に、背徳感と陶酔感を同時に感じていた。

夜が更け、彩子は涼介と共に、用意された離れの部屋へと向かった。薄暗い和室には、かすかな香りが漂っている。彩子の顔には、温泉の湯気で赤く染まった頬と、涼介の熱い視線に呼応するように燃える欲望の色が浮かんでいた。

「涼介さん…」

彩子が囁くと、涼介は彩子の腰を抱き寄せた。布団が、二人の汗と愛液で濡れていく。彩子は、自ら腰を振り、涼介の肉棒を求めた。それは、夫から得られなくなった愛情の代償なのか、それとも、ただ純粋に、この瞬間を求めていたのか、彩子自身にも分からなかった。

「…私、あなたの子を…」

彩子が漏らした一言に、涼介は彩子をさらに強く抱きしめた。薄明かりの中、二人の瞳は熱く絡み合い、運命の糸が静かに、しかし確実に結ばれていくのを感じていた。

翌朝、彩子は涼介の腕の中で目を覚ました。窓の外には、まだ眠りについたかのような静かな朝の光が差し込んでいる。昨夜の出来事が、まるで夢だったかのように思える。しかし、身体に残る熱と、涼介の温かい腕が、その全てが現実であったことを告げていた。

彩子は、健一とは違う、涼介という男に、初めて自分自身の本当の姿を見せられたような気がした。それは、許されないことかもしれない。しかし、彩子の心は、この禁断の愛に、抗いがたい魅力を感じていた。

「彩子さん、大丈夫ですか？」

涼介が、心配そうに彩子の顔を覗き込んだ。彩子は、涼介の顔を見つめ、静かに微笑んだ。

「ええ、大丈夫よ」

その微笑みの奥には、燃え盛る炎と、そして、これから始まるであろう禁断の愛への覚悟が宿っていた。彩子は、この一夜の出来事を、決して忘れることはないだろう。そして、この湯けむりのように、二人の関係は、静かに、しかし確実に、深まっていくのかもしれない。