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小説「松下一夫塾の夏」

蝉しぐれが響く夏の午後、松下一夫塾の校舎裏は、ひっそりと静まりかえっていた。雑草が伸び放題の空き地には、朽ちかけたベンチが一つ。そのベンチに腰掛けていたのは、三十代半ばの男、佐々木健太だった。彼は、手元のスマートフォンを何度も見返しながら、ため息をついた。画面には、メールの件名「松下一夫塾　素人AV監督大募集中！」という文字が大きく表示されていた。

健太は、かつて映像制作会社に勤めていたカメラマンだ。しかし、会社は倒産し、今はアルバイト生活を送っている。生活は苦しい。だが、それ以上に苦しかったのは、カメラを握れないことだった。映像制作への情熱は消えていなかった。むしろ、心の奥底で燃え盛っていた。

そんな時、知人からこのメールが届いたのだ。「松下一夫塾」という聞き慣れない塾。そして、「素人AV監督大募集中！」という挑発的な言葉。メールには、具体的な内容が書かれていなかった。ただ、「撮影されたい内容を書いてお気軽にメールください」とだけあった。

健太は、最初は戸惑った。AV監督など、自分には無理だと。しかし、彼の心には、映像を制作したいという強い意志があった。生活の苦しさも、プライドも、すべてを乗り越えたいという気持ちもあった。彼は、覚悟を決めた。

メールに返信する際、健太は何度も文章を書き直した。どんな映像を撮りたいのか。何を見せたいのか。彼は、自身の経験や、心に秘めた思いを丁寧に綴った。そして、最後に付け加えた。「くすぐられる女性を撮影したい」と。

それは、彼にとって、非常に個人的なテーマだった。健太は、かつて、ある女性をくすぐって遊んだことがある。その時の彼女の表情や反応は、彼の中に強く焼き付いていた。くすぐられて赤くなる頬、震える唇、そして、徐々に硬直していく乳首。それらは、健太にとって、忘れられないほどの衝撃的な光景だった。

それから数日後、健太は「松下一夫塾」から返信を受け取った。驚くことに、彼の提案は受け入れられたという内容だった。指定された場所と時間に行くと、そこには、若い女性二人が待っていた。一人は、黒髪ロングヘアで清楚な雰囲気の女性、もう一人は、ショートカットで活発的な女性だった。二人は、塾の生徒らしい。

撮影は、校舎裏の空き地で行われた。女性二人は、健太の指示に従い、様々なポーズを取った。最初は緊張していた二人も、次第に慣れていった。健太は、慎重にカメラを操作し、二人の表情や動きを捉えていった。

最初のシーンは、ショートカットの女性をくすぐるシーンだった。最初は、軽いタッチでくすぐる。彼女は笑い、くすぐられる度に顔が赤くなる。徐々に、くすぐる強さを増していく。彼女の笑い声は、次第に悲鳴に近いものになっていく。そして、ミニスカートの下から見えるパンチラ。健太は、その瞬間を逃さずにカメラに収めた。

次は、ロングヘアの女性をくすぐるシーン。彼女は、ショートカットの女性とは異なり、くすぐられることに抵抗を示していた。しかし、健太の優しい言葉と、絶妙なタッチで、彼女は次第にリラックスしていった。そして、彼女の乳首が徐々に立ち上がっていく様子も、カメラは捉えていた。

撮影は、長時間続いた。健太は、自分が撮っているものが何なのか、時折自問自答しながらも、撮影を続けた。それは、単なるAVではなかった。それは、人間の感情、そして、くすぐられることによって生まれる快感と苦痛の微妙なバランスを捉えた、一つの芸術作品だった。

撮影後、女性二人は健太に感謝の言葉を述べた。そして、健太は、自分が何を成し遂げたのかを、改めて実感した。生活の苦しさ、プライド、全てが、この瞬間においては、些細なことだった。彼は、再びカメラを握ることができた。そして、彼は、自分が本当に表現したいものを見つけたのだった。

撮影された映像は、編集され、一つの作品となった。それは、健太にとって、自信作であり、そして、新しい出発点だった。彼は、この作品を、誰かに見せる勇気はまだ持っていなかったが、胸の中には、新たな映像を制作したいという、強い想いが満ちていた。松下一夫塾での経験は、彼の人生を大きく変えたのだった。そして、蝉しぐれが静かに響く夏の夕暮れ、彼は、明日への希望を感じていた。