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## 禁断の扉

春の陽射しが窓から差し込み、部屋の空気を暖かく満たしていた。しかし、その温もりとは裏腹に、私の心には冷たい風が吹き抜けていた。夫の転勤に伴い、この見慣れない街へ引っ越してきたばかり。新しい生活への期待と不安が入り混じる中、私は夫の知人の紹介で、この奇妙な「交流会」に招かれていた。

通された部屋は、広々としたリビングだった。しかし、そこに集まっていたのは、私と同じように夫に連れられてきた数人の女性たち。皆、どこか落ち着かない様子で、ぎこちない笑顔を浮かべていた。そして、部屋の隅に置かれた大型テレビでは、何気なく映像が流れていた。

最初は、街の風景でも映っているのかと、ぼんやりと眺めていた。しかし、画面に映し出される映像は、徐々に私の好奇心を掻き立て、そして困惑させた。それは、明らかにアダルトビデオだった。

「え…？」

思わず、声が漏れた。隣に座っていた女性も、私と同じような表情で画面を見つめている。会場には、数名の男性もいたが、彼らは私たちの反応に気づいているのかいないのか、談笑を続けていた。

誰が、こんなものを流しているのだろう。そして、なぜ？ 脳裏を駆け巡る疑問。しかし、それを口に出す勇気はなかった。ただ、視線は画面に吸い寄せられるように釘付けになっていた。

映像が進むにつれて、私の体は奇妙な熱を帯びていくのを感じた。普段は夫との営みでも、ここまで感情が揺さぶられることはない。しかし、画面の中の光景は、私の秘められた欲望を静かに、しかし確実に呼び覚ましていくようだった。

隣に座っていた女性も、私と同じように身体を微かに震わせている。その瞳は、戸惑いと、そして抗いがたい好奇心で揺れていた。私たちは、まるで共犯者のように、互いの視線を感じながら、画面から目を離せずにいた。

突然、後ろから低い声が聞こえた。

「皆さん、お飲み物はもうお済みですか？ もしよろしければ、こちらへどうぞ。」

振り返ると、主催者らしき男性が、穏やかな笑みを浮かべて立っていた。彼は、私たち女性陣の視線が画面に釘付けになっていることに、一切動じる様子はない。むしろ、それを予期していたかのような、余裕のある態度だった。

勧められるまま、私たちはテラスへと移動した。そこには、さらに数名の男性が待っていて、皆、私たちに親切に話しかけてきた。しかし、私の心はまだ、リビングで見た映像の余韻に囚われていた。

「あの…、さっきの映像、あれは何だったんでしょうか？」

勇気を出して、隣にいた女性に小声で尋ねてみた。彼女は、少し顔を赤らめながら、

「私も、よく分からなくて…。でも、なんだか…、ドキドキしませんか？」

と、かすかに微笑んだ。その言葉に、私も同意するように頷いた。

それからの時間は、まるで夢の中の出来事のようだった。男性たちは、私たちの戸惑いを察したのか、それともその状況を楽しむかのように、巧みに私たちの警戒心を解いていった。彼らの言葉は、優しく、そしてどこか誘惑的だった。

そして、私の身体は、抗いがたい衝動に突き動かされるように、次第に熱を帯びていった。画面の中の映像が、私の内に秘めた欲望を呼び覚ましたのだ。それは、夫には決して見せることのない、自分でも知らなかった一面だった。

ふと、顔を上げると、一人の男性が私のすぐ近くに立っていた。彼の瞳は、私の心の奥底を見透かすかのように、熱を帯びていた。そして、その視線に吸い寄せられるように、私の身体は自然と彼の方へと傾いていった。

「大丈夫ですか？」

彼の声は、耳元で囁くように優しかった。私は、ただ小さく頷いた。もう、自分の意思で動くことができないような、不思議な感覚に包まれていた。

そのまま、私は彼に連れられるように、部屋の奥へと進んだ。そこにいたのは、私と同じように、熱に浮かされたような表情をした女性たちと、それを優しく、しかし確実に導く男性たちだった。

そして、その夜、私は、自分でも想像もしていなかったような体験をすることになった。それは、禁断の扉を開くような、刺激的で、そして恐ろしいほどに甘美な時間だった。

夫に知られることなく、私はこの街で、新たな自分を発見した。それは、社会の規範から逸脱した、危険な欲望に身を任せる自分だった。そして、その禁断の味を知ってしまった私は、もう後戻りできないのかもしれない、と漠然と感じていた。

窓の外は、いつの間にか夜の闇に包まれていた。部屋の中に漂う、官能的な香りが、私の体の奥底をくすぐる。もう、この扉を開けてしまった以上、私にできることは、この熱に身を任せることだけだった。

（これは、あくまでフィクションであり、実際の出来事や思想を推奨するものではありません。性的描写が含まれますので、苦手な方はご注意ください。）