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## 甜蜜なる迷宮

「はぁ……」

俺、山田太郎。27歳、独身、童貞。世に言う「M男」というやつだ。でも、自分で言うのもなんだが、決して怠けているわけじゃない。ただ、どうにもこうにも、異性との距離感が掴めない。特に、女性からのアプローチがあると、頭の中が真っ白になってしまう。そんな俺が、今日、人生最大の転機を迎えることになるとは、微塵も知らなかった。

それは、ある晴れた日曜日の昼下がりだった。いつものように、近所の公園でぼんやりと空を眺めていた俺の前に、突如として現れたのだ。

「そんな所に寝っ転がって、私にナニ期待してるの？」

その声は、まるで澄んだ泉のようでありながら、どこか甘く、そして抗えない魅力を帯びていた。恐る恐る顔を上げると、そこにいたのは、俺が今まで見たどんな画像や映像よりも、いや、想像の域を超えた、とてつもない美女だった。

天文学的レベル、とでも言おうか。透き通るような白い肌、吸い込まれそうな大きな瞳、そして、まるで宝石のように輝く唇。その全てが、俺の心を鷲掴みにした。いや、鷲掴みなんて生易しい表現では足りない。魂まで持っていかれたような感覚だった。

「え、えっと……」

俺は、言葉を失った。ただ、呆然と彼女を見つめることしかできなかった。

彼女は、優しく微笑んだ。その微笑みは、どんなに屈強な男も、頑固オヤジも、秒速でイエスマンに変えてしまうという、伝説の「甘い淫語スキル」を宿しているかのように見えた。

「ふふ、そんなに驚かなくてもいいじゃない。私、あなたのこと、ずっと見てたんだよ？」

彼女はそう言って、俺の隣にそっと腰を下ろした。その仕草一つ一つが、計算され尽くしたかのようにメチャクチャ可愛い。そして、その放つオーラは、純粋な優しさと、隠しきれない妖艶さの絶妙なバランスを保っていた。

「え……僕のこと……？」

俺は、まだ夢の中にいるような心地で、彼女の言葉を反芻した。

「そうだよ。だって、あなたはいつも一人で、寂しそうに空を見てるんだもん。なんだか、放っておけなくて」

彼女は、俺の頬にそっと手を伸ばし、優しく撫でた。その温かさに、俺の全身に電流が走った。

「う、あの……」

「ねえ、名前は？」

「や、山田太郎です……」

「太郎くん。素敵な名前ね。私は、サチ。よろしくね、太郎くん」

サチ、と名乗った彼女は、さらに俺に近づいた。その距離感は、もはや友達以上、恋人未満という、なんとも言えない甘酸っぱい空気を醸し出していた。

「あの、サチさんは、どうして僕に……？」

「どうしてって？ だって、太郎くんは、私を必要としてるように見えたから」

彼女の言葉は、俺の心の奥底に直接響くようだった。そうだ、俺は必要としていたんだ。誰かに、優しく、そして甘く包み込まれることを。

「でも、僕は……その……」

「大丈夫。私も、太郎くんみたいな、まっすぐな人が好きなんだ」

彼女は、俺の目を見つめて、さらに微笑んだ。その瞳には、一切の計算も、下心も感じられなかった。ただ、純粋な好意と、俺を幸せにしたいという強い意志だけが宿っているように見えた。

「あの、でも、僕は、その……」

俺は、どうしても自分の「M男」としての属性を打ち明けることができなかった。女性とまともに話した経験もほとんどない俺が、彼女のような完璧な女性に相手にされるなんて、夢にも思わなかったからだ。

「ねえ、太郎くん。私、太郎くんのこと、もっと知りたいな。もっと、甘えさせてあげたいんだ」

彼女は、そう言って、俺の指先をそっと掴んだ。その指先から伝わる温かさは、俺の凍てついた心をゆっくりと溶かしていくようだった。

「甘えさせて……？」

「そう。私、太郎くんのために、とっておきの甘い言葉をいっぱい用意してるんだから」

彼女は、そう言って、俺の耳元で囁いた。その声は、まるで綿飴のように甘く、そして、俺の理性という最後の砦をあっという間に崩壊させた。

「太郎くん、あなたのそのまっすぐな瞳、本当に綺麗ね。まるで、夜空に輝く一番星みたい。そんな、キラキラした瞳を、もっと私だけに向けてほしいな」

その言葉は、俺が今まで誰からも言われたことのない、優しく、そして淫らな響きを持っていた。俺の体は、まるで操り人形のように、彼女の言葉に反応し始めた。

「う……」

「もっと、私に身を委ねてほしい。私なら、太郎くんがどんなに頑張っても、絶対離さないから。ね？」

彼女の指が、俺の指を優しく絡め取っていく。その力は、決して強くはないのに、俺は抗うことができなかった。いや、抗いたくなかった。

「サチさん……」

「ふふ、そうやって私の名前を呼ぶ声も、とっても可愛い。ねえ、太郎くん。私、太郎くんが困ってる時、どうしてほしい？」

「え……」

「教えて？ 私、太郎くんの望みを、全部叶えてあげたいんだ」

彼女は、俺の頬に自分の頬を寄せた。その触れ合いに、俺の心臓は早鐘を打った。

「あの、その……」

「恥ずかしがらなくてもいいよ。私、太郎くんの全部を受け止めてあげるから。ね？」

彼女の瞳は、純粋な好奇心と、そして、俺を試すような、しかし決して意地悪ではない、優しさに満ちていた。

「あの、その……もし、もしよろしければ……」

俺は、震える声で、意を決して言った。

「え、何？」

「もし、よろしければ……その……もっと、もっと、甘えてもらえませんか……？」

俺の言葉を聞いたサチは、一瞬、驚いたような顔をしたが、すぐに破顔した。

「ふふふ！ もちろんだよ、太郎くん！ むしろ、それが私の一番の望みだもの！」

彼女は、そう言って、俺の顔を両手で包み込み、その唇を俺の唇にそっと寄せた。

それは、まるで綿菓子のように甘く、そして、天文学的なレベルの可愛さに満ちた、奇跡のような瞬間だった。俺は、もう、この甘くて、優しくて、そして少しだけ淫らな迷宮から、決して逃れられないことを確信した。

「ねえ、太郎くん。私、太郎くんのために、まだまだたくさんの甘い言葉と、とびきりのテクニックを用意してるんだから。覚悟しておいてね？」

サチは、そう言って、悪戯っぽく微笑んだ。その微笑みに、俺は、これから始まるであろう、甜蜜なる未知の世界への期待を、胸いっぱいに抱いていた。M男初心者である俺でも、きっと大丈夫。なぜなら、俺の隣には、計算され尽くしたメチャクチャ可愛い、そして優しすぎるサチがいるのだから。

これからの僕の人生は、きっと、甘くて、とろけるような、そんな日々になるだろう。そんな予感が、今、確信に変わろうとしていた。