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ビデオボックスの薄暗い照明は、少年、翔太の汗ばんだ肌を仄かに照らしていた。17歳。まだ幼さが残る顔立ちだが、今この瞬間、彼の瞳は恍惚に染まっていた。手元にあるコントローラーを握りしめ、画面に映し出される刺激的な映像に、全身が震えている。初めての体験。初めての、この密室での孤独な快楽。

彼は完全に没頭していた。周囲の音、空気、すべてが彼の意識の外に存在していた。時間すらも歪んで感じられただろう。至福の瞬間を目前にして、現実などどうでも良かった。

ビデオボックスの扉は、彼が興奮の絶頂に達しようとしていたその時、わずかに軋む音を立てた。しかし、翔太には聞こえなかった。あるいは、聞こえていても、脳裏を支配する快楽の波に掻き消されてしまったのかもしれない。

扉が開いた。男が入ってきた。

男は背が高く、がっしりとした体格をしていた。顔は暗闇に隠れて見えなかったが、その存在感は、翔太の背筋を凍らせるほどだった。翔太は気づいていなかった。意識は完全に内部に向けられ、外部からの刺激を遮断していた。

男はゆっくりと、まるで獲物を追い詰めるハンターのように翔太に近づいていった。男の足音は、ビデオボックスの薄い床を震わせるほど大きかったのに、翔太はそれでも気づかなかった。

男は翔太の背後に立った。彼の吐息が、翔太の首筋に温かく触れた。その瞬間、翔太はハッと我に返った。背筋に走る電撃のような恐怖。しかし、それはすぐさま、奇妙な、そして圧倒的な快感へと転換していった。

男の手が、翔太の肩に触れた。優しく、しかし力強く。翔太は体を震わせた。それは恐怖ではなく、新しい種類の快楽だった。まるで、彼の体を知り尽くしているかのような、熟練した愛撫。

男の手は、翔太の背中をゆっくりと撫でた。その動きは、まるで詩のように美しく、翔太の全身を魅了した。彼は、抵抗するどころか、男の手に身を委ねていることに気づいた。

男は言葉を一言も発さなかった。彼の行動はすべて、手と体の動きで表現されていた。翔太は、男の意思を理解できるかのように、その動きに反応していた。

男の指先が、翔太の腰に触れた。そして、ゆっくりと、彼のズボンの中に潜り込んだ。翔太は呻いた。それは苦痛ではなく、至福の叫びだった。

男の愛撫は、巧みに、翔太の体のあらゆる感点を刺激した。彼は、これまで感じたことのない快楽の渦に巻き込まれていった。それは、孤独な自慰行為とは全く異なる、誰かと共有する、より深く、より激しい快楽だった。

男は、翔太の体全体を愛撫し、彼の限界へと導いていった。翔太は、意識が薄れていく感覚に抗えず、男の腕の中に身を任せた。

やがて、翔太は意識を失った。彼の体には、男のぬくもりが残っていた。男は、何も言わずに、静かにビデオボックスを去っていった。

夜が明け、翔太は目を覚ました。体は倦怠感で満たされていたが、胸中には不思議な充足感があった。昨夜の出来事を鮮明に覚えているわけではない。断片的な記憶だけが、彼の脳裏に浮かび上がってきた。

ビデオボックスのドアは、しっかりと閉まっていた。彼は昨夜、ドアに鍵をかけていなかったことを思い出した。そして、謎の男の存在。その男は誰だったのか？なぜ彼を愛撫したのか？

疑問は残ったままだった。しかし、翔太は、昨夜体験した快楽を、決して忘れることはないだろう。それは、彼の人生に、一つの不可解で、しかし忘れられない、深い傷跡を残したのだった。  彼の視線は、再び、ビデオボックスの暗い隅へと向かった。そして、彼はゆっくりと、深く息を吸い込んだ。  初めて体験した、謎めいた夜。それは、彼の性への目覚めだったのかもしれない。  それとも、何かもっと、深い意味を持った出来事だったのだろうか？  翔太は、その答えを求めて、これからの人生を歩んでいくことになる。