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## エロ都市伝説ファイル：漆黒の迷宮

都心の片隅にある小さな編集プロダクション「裏探求社」。そこで働くのは、好奇心だけが取り柄のライター、佐竹だった。彼は、上司の編集長、通称“ドク”から、世間を騒がせるエロティックな噂の真相を暴く「エロ都市伝説」シリーズの最新作を担当するように命じられた。

「佐竹、お前には期待してるぞ。今回は特に気合を入れてくれ。ネタは豊富だ。ネットの書き込み、週刊誌の裏記事、果ては都市伝説マニアの垂れ込みまで、山ほどある。真偽はともかく、読者の好奇心を刺激するような記事を書いてくれ」

ドクはニヤリと笑い、分厚いファイルを手渡した。中には、「団地売春宿」「就活レイプ面接」「激安素人風俗」「スマホゲーム人妻タダマン」「金曜深夜の泥酔OL狩り」「裏風俗の聖地西口」「ブラック健康器具枕営業」「タクシー車載カメラバカップル」など、刺激的なタイトルが並んでいた。

佐竹は、その日のうちに一番気になった「団地売春宿」の調査を開始した。噂によると、都心から少し離れた築40年の団地が、丸ごと売春宿と化しているという。地元の住民は皆知っているが、警察も見て見ぬふりをしているらしい。

佐竹は、週末にその団地を訪れた。古びた建物は、どこにでもある普通の団地と変わらない。しかし、よく見ると、各部屋のドアに小さなシールが貼られていることに気づいた。シールには、花の名前と数字が書かれていた。

「これって…まさか？」

佐竹は、近くの公園で休んでいる老人に話しかけた。

「すみません、この団地のことを少しお聞きしたいんですが…」

老人は警戒した様子で佐竹を見た。

「あんた、何者だ？」

佐竹は名刺を差し出した。老人はそれをじっくりと見た後、ため息をついた。

「やっぱり来たか…。最近、若い人がよくこの団地のことを聞きに来るんだよ」

老人は、団地の噂について語り始めた。

「あれは、もう10年以上前の話だ。この団地は、元々若い家族がたくさん住んでいたんだ。でも、バブルが崩壊して、リストラされたり、借金を抱えたりして、家賃を払えなくなる人が続出した。そこで、誰かが考えたんだ。空き部屋を売春宿にすれば、金になるんじゃないかって」

老人は、団地の管理組合が、裏で暴力団と繋がっていたことを明かした。暴力団は、団地の空き部屋を買い上げ、売春宿として貸し出した。最初は数部屋だったが、徐々に増え、ついには団地全体が売春宿と化したという。

「あのドアのシールは、売春婦の名前と料金を表しているんだ。梅は5千円、桜は1万円、牡丹は2万円ってな…」

老人は、目を伏せた。

「ワシは、何もできなかった。ただ、見て見ぬふりをするしかなかったんだ」

佐竹は、老人の話を聞き終え、愕然とした。噂は、事実だったのだ。団地は、貧困と暴力によって蝕まれ、人々の尊厳が奪われていた。

佐竹は、他の噂についても調査を開始した。「就活レイプ面接」は、一部の悪質な企業が、就活生を言葉巧みに誘い込み、性的関係を強要するというものだった。佐竹は、実際に被害に遭った女性に話を聞くことができた。彼女は、トラウマに苦しみ、今も精神的な治療を受けているという。

「スマホゲーム人妻タダマン」は、ソーシャルゲームを通じて人妻と知り合い、不倫関係に発展するというものだった。佐竹は、実際にゲームをプレイし、人妻たちとチャットをすることで、その実態を掴んだ。彼女たちは、孤独や不満を抱え、ゲームの世界に癒しを求めていた。

「金曜深夜の泥酔OL狩り」は、終電を逃したOLを狙い、ナンパや性的暴行を行うというものだった。佐竹は、金曜日の深夜に繁華街を歩き回り、実際にOLたちが危険な目に遭っている場面を目撃した。

「裏風俗の聖地西口」は、新宿西口に広がる違法風俗店の密集地帯のことだった。佐竹は、そこに潜入し、売春の実態を記録した。そこは、欲望と暴力が渦巻く、まさに「漆黒の迷宮」だった。

「ブラック健康器具枕営業」は、悪徳健康器具販売会社が、女性社員に顧客との性的関係を強要するというものだった。佐竹は、元社員から話を聞き、その会社が、ノルマを達成するために、非人道的な手段を使っていることを知った。

「タクシー車載カメラバカップル」は、タクシーの車載カメラが捉えた、酔っぱらったカップルの性的行為を記録した映像が、ネット上に流出しているというものだった。佐竹は、その映像を入手し、カップルのプライバシーが侵害されていることに心を痛めた。

すべての噂を調査し終えた佐竹は、原稿を書き上げた。それは、欲望と暴力、そして貧困によって蝕まれた現代社会の暗部を描いた、重く、そして衝撃的な内容だった。

「ドク、できました」

佐竹は、原稿をドクに手渡した。ドクは、それを一読すると、満足そうに頷いた。

「よくやった。佐竹。これは、売れるぞ」

しかし、佐竹は、複雑な気持ちだった。彼は、読者の好奇心を刺激する記事を書くことができたかもしれない。しかし、同時に、彼は、人間の醜さ、そして社会の闇を深く知ってしまった。彼は、この経験を、今後のライター活動に活かしていくことを誓った。

「エロ都市伝説」は、あくまでエンターテイメントだ。しかし、その裏には、目を背けてはならない現実が隠されている。佐竹は、それを読者に伝えたいと思った。

「ドク、一つだけお願いがあります」

「なんだ？」

「この記事を読んだ人が、少しでも社会の問題に関心を持ち、何か行動を起こしてくれることを願います」

ドクは、少し驚いた表情をしたが、すぐにニヤリと笑った。

「お前も、少しは成長したな。わかった。お前の気持ちは、記事に込めておくよ」

佐竹は、ドクの言葉に、少しだけ希望を感じた。彼は、これからも、真実を追求し、社会の闇を照らし出すために、ペンを握り続けるだろう。

「エロ都市伝説ファイル：漆黒の迷宮」は、発売されると同時に、大きな話題を呼んだ。読者たちは、その衝撃的な内容に驚き、そして考えさせられた。佐竹の記事は、多くの人々の心に、小さな火を灯した。

そして、佐竹は、次の「エロ都市伝説」の調査へと向かうのだった。彼の戦いは、まだ始まったばかりだ。