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風は校舎の窓を吹き抜ける。十月、空は澄み渡り、夕焼けは燃えるように美しい。僕は、その美しさに全く気づいていない。なぜなら、僕の視線は、目の前に座る三人の少女、いや、少女に見える少年たちに向けられていたからだ。

彼女たちは、或いは彼らたちは、クラスで「Jトリオ」と呼ばれていた。ショートカットにボーイッシュな服装、口調は男勝りで、冗談めかして「おい」「テメェ」と呼び合う。誰が見ても、紛れもなく男っぽい。だが、僕は知っている。彼らが、内側に秘めた乙女心を。

その事実は、数ヶ月前の偶然の出来事から判明した。体育祭のリレーで、転倒した僕を助けようとした際に、一人の「Jトリオ」メンバー、天野玲奈が、僕の腕に抱きついた瞬間、そっと僕の頬にキスをしたのだ。それは、一瞬で、気付かれないように、しかし確かに。

その瞬間、僕の脳裏に稲妻が走った。男勝りな言動の裏に隠された、繊細で、甘く、激しい乙女心。そして、他の二人、月島美咲と星野葵も、それぞれ異なる方法で、その乙女心を僕に見せてくれた。それは、何気ない仕草、照れ隠しのような言葉、時に大胆な行動の中に隠されていた。

それ以来、僕の日常は一変した。モテない、と自認していた僕に、まさかのモテ期が到来したのだ。それも、普通のモテ期ではない。全員が内面に激しい乙女心を秘めた、ボーイッシュな少女たちとの、奇跡のハーレム状態だ。

「おい、夕焼け綺麗だな」と、月島が窓の外を指さす。その言葉に、星野と天野が「へぇ」と、まるで男同士のような返事を返す。しかし、その言葉の裏には、夕焼けの美しさよりも、僕の傍にいることに対する、隠しきれない喜びが感じられた。

放課後、いつものように四人で下校する。冗談を言い合い、笑い合い、まるで兄弟、いや兄弟以上の、不思議な絆で結ばれている。それは、表面的な友情を超えた、もっと深く、もっと熱い繋がりだった。

ある日、天野が突然言った。「オレたち友達だろ？友達だったら仲良くSEXしようぜ！」

その言葉に、僕は一瞬固まった。しかし、すぐに、彼女の真意を理解した。それは、単なる性的な欲望から発せられた言葉ではなかった。彼女たちの乙女心、僕への愛情表現、そして、自分たちの感情を素直に表現する勇気。そのすべてが込められた、彼女たちなりの言葉だった。

月島と星野は、天野の言葉に続き、それぞれ同意を示した。言葉は男性的だが、表情は照れくさそうで、可愛らしかった。

それから、僕たちは、言葉では言い表せない、特別な時間を共有した。それは、肉体的な結びつきだけではない。心と心が通じ合う、魂の交感のようなものだった。お互いの内面を理解し、尊重し、愛し合う、そんな関係がそこにはあった。

その後も、僕たちは様々な経験を共にし、絆を深めていった。文化祭では、一緒にバンドを組み、ステージで熱演した。勉強では、お互いを助け合い、励まし合い、良い成績を収めた。時には喧嘩もした。しかし、その喧嘩ですら、僕たちの絆を強くする一つの要素だった。

卒業が近づくにつれ、別れを惜しむ気持ちが高まってきた。しかし、僕たちは知っている。この友情、この愛情は、卒業後も、ずっと続くことを。

最後の授業の日、夕焼けが校舎を染める中、四人は校庭で話した。

「楽しかったな」と、星野がつぶやく。

「うん。最高だった」と、天野が答える。

月島は、珍しく照れくさそうに僕の肩に手を置いた。

そして、僕は、この奇跡のようなスクールライフ、このかけがえのない仲間たちへの感謝を込めて、彼らの手を握った。

「これからも、ずっと友達でいよう」

その言葉に、三人は静かに頷いた。夕焼けの中、四人の影は一つになり、未来へと伸びていくように見えた。  それは、男勝りな言葉の裏に隠された、乙女たちの、美しく、そして熱い恋物語だったのだ。