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## 密室の甘い誘惑

ビジネスホテルのシングルルーム。窓の外には、都会のネオンが滲んだ夜景が広がっていた。部屋の中央に置かれたマッサージベッドの上で、沙織は静かに息を潜めていた。彼女はこのホテルで、出張メンズエステの施術をするために来ている。経験豊富で、どんな客にも丁寧な施術を心がけている。しかし、この仕事には、時折、思わぬ「落とし穴」が潜んでいることを、彼女は身をもって知っていた。

今日の客は、田中という名のサラリーマンだった。初対面の田中は、どこか疲れたような、しかしどこかギラついた目をしていた。初めは丁寧なマッサージを求めていた田中だったが、施術が進むにつれて、その態度が徐々に変化していくのを沙織は感じ取っていた。

「あの、もう少し…腰の方を重点的にやってくれませんか？」

田中が、沙織の手を掴みながら言った。その手つきは、単なるリクエストとは明らかに異なっていた。沙織は、一瞬ためらった。このような状況は、残念ながら珍しくはない。客の中には、エステティシャンに性的なサービスを求めてくる者もいる。特に、沙織のような既婚の女性エステティシャンは、「未婚の女の子よりも性に緩い」という根拠のない噂が流れていることも、彼女は耳にしていた。

「田中様、腰の凝りは、このように…」

沙織は、プロフェッショナルな態度を崩さないように、施術を続けた。しかし、田中の手は、より大胆に彼女の体を触るようになっていった。沙織は、内心で焦りを感じていた。このままでは、いつ「その時」が来るか分からない。

「沙織さん、疲れてるんですか？顔色が…」

田中の言葉は、心配というよりも、むしろ挑発的に聞こえた。沙織は、自分自身に強く言い聞かせた。「ここで流されてはいけない。これは仕事だ。」

しかし、日頃のセックスレス状態も、彼女の心を揺さぶる一因だったかもしれない。夫との関係は、結婚して数年が経ち、お互いに忙しい日々を送る中で、次第に冷めてしまっていた。そんな折に、このような「誘惑」が訪れると、抗いがたい衝動に駆られてしまうことも、否定できなかった。

「田中様、もうすぐ施術は終わりますので…」

沙織がそう言いかけた時、田中の手が、彼女の施術着の隙間から、下へと滑り込んできた。冷たい汗が、沙織の額に滲んだ。

「ダメです、田中様…！」

沙織は、必死に抵抗しようとした。しかし、田中の体は、沙織のそれを力強く押さえつけた。密室の中で、二人の距離は急速に縮まっていく。沙織の体は、田中の熱気に包まれた。

「大丈夫だよ、沙織さん。誰も見てないから。」

田中の耳元での囁きが、沙織の理性をさらに曖昧にしていく。彼女は、断るべきだということは分かっていた。しかし、日頃の抑圧された感情や、孤独感が、一気に噴き出したかのような感覚に襲われた。

「…でも…」

沙織の抵抗は、次第に弱まっていった。田中の強引な要求は、容赦なく沙織の心を侵食していく。そして、抗いきれなくなった沙織は、ゆっくりと、しかし確実に、田中の「誘惑」に堕ちていった。

この一部始終を、誰かが「こっそり」と監視していたかのような、そんな不気味な感覚が、沙織の脳裏をかすめた。しかし、その時は、もはや抗う力は残っていなかった。

「……っ！」

沙織の唇から、漏れるのは、か細い喘ぎ声だけだった。田中の指は、彼女の肌をなぞり、更なる熱を帯びさせていく。やがて、二人の間には、抗いがたい「欲望」だけが、赤裸々に渦巻いていた。

この後、彼女の身に何が起こったのか、それは、密室の闇だけが知っている。しかし、確かなことは、沙織の「プロフェッショナル」という鎧は、この夜、無残にも剥ぎ取られてしまったということだ。そして、その姿は、誰かの「仕掛け」によって、永遠に記録されてしまったのかもしれない。