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## 禁断の果実

大学卒業後、IT企業に勤める佐伯悠馬は、女性との交際経験がない。学生時代から読書やゲームに没頭し、現実世界での異性との交流は極力避けてきた。そんな彼にとって、恋愛は遥か遠い世界のことだった。

ある日、悠馬は大学時代の先輩である田中健太の結婚式に出席した。健太の妻、玲奈さんは、悠馬が想像していた以上に美しかった。すらりとした長身、輝くような黒髪、そして何よりも、その穏やかで優しい瞳。悠馬は一瞬で心を奪われた。

披露宴の後、健太と玲奈さんに誘われ、二次会にも顔を出した。二次会は賑やかで、普段なら場に馴染めない悠馬も、健太と玲奈さんの温かい雰囲気のおかげで、比較的リラックスして過ごすことができた。玲奈さんは、悠馬が一人でいると、「大丈夫？何か飲み物いる？」と、さりげなく声をかけてくれた。その気遣いに、悠馬の胸はさらに高鳴った。

数週間後、悠馬の元に健太から連絡が入った。

「悠馬、今度うちに遊びに来ないか？玲奈が悠馬に会いたがってるんだ。」

健太からの誘いは、悠馬にとって驚きだった。玲奈さんが自分に会いたがっているとは、夢にも思わなかった。しかし、玲奈さんに会えるという期待感と、健太の誘いを断るという選択肢は、悠馬の辞書にはなかった。

週末、悠馬は健太と玲奈さんの新居を訪れた。広々としたリビングは、二人のセンスが光るおしゃれな空間だった。玲奈さんは、悠馬のために手作りのクッキーを用意してくれていた。

「佐伯さん、ようこそ。ゆっくりしていってくださいね。」

玲奈さんの笑顔に、悠馬は緊張しながらも、少しずつリラックスできた。健太は仕事で遅れるとのことだった。二人きりになったリビングで、悠馬は玲奈さんと談笑した。玲奈さんは、悠馬の趣味や仕事のこと、そして大学時代の思い出などを、興味深そうに聞いてくれた。

「佐伯さんって、本当に真面目な方なんですね。でも、もっと色々なことを経験して、もっと自分を解放してもいいんじゃないかな？」

玲奈さんの言葉は、悠馬の心に静かに響いた。彼女の視線は、優しくも、どこか妖艶な光を帯びていた。悠馬は、玲奈さんの言葉の真意を掴みかねていた。

その夜、健太は帰りが遅くなり、悠馬は一人で帰ることにした。玄関まで見送りに来てくれた玲奈さんに、悠馬は礼を言った。

「今日は本当にありがとうございました。楽しかったです。」

「いいえ、こちらこそ。またいつでも遊びに来てくださいね。」

玲奈さんの指先が、悠馬の手に触れた。その瞬間、悠馬の体中に電気が走ったような感覚が走った。玲奈さんは、悠馬の目をじっと見つめ、微かに微笑んだ。

「佐伯さん、もし、もしよかったら…」

玲奈さんの言葉は、途切れ途切れになった。彼女の顔は、かすかに赤らんでいた。悠馬は、玲奈さんの意図を察し、心臓が激しく脈打つのを感じた。

「あの…」

悠馬が言葉を詰まらせていると、玲奈さんはさらに大胆な言葉を続けた。

「私、佐伯さんのこと、気になってるんです。…すごく。」

玲奈さんの言葉は、悠馬にとって衝撃的だった。彼女のような美しい女性に、自分のような男が好意を持たれているなんて、夢にも思わなかった。

「で、でも、田中さんの…」

「健太は、きっと理解してくれる。それに、これは、私と佐伯さんの…秘密。」

玲奈さんの声は、甘く、誘うようだった。悠馬は、玲奈さんの瞳に吸い込まれそうになった。抗いがたい魅力に、悠馬はただ立ち尽くしていた。

玲奈さんは、悠馬の手をそっと引いた。そして、リビングへと誘導した。ソファに座り、二人の間に流れる緊張感。悠馬は、玲奈さんの色気あふれる雰囲気に、ただただ圧倒されていた。

「佐伯さん、女性とのお付き合いって、したことないんですよね？」

玲奈さんは、悠馬の心を読んだかのように、そう問いかけた。悠馬は、顔を赤らめながら、こくりと頷いた。

「ふふ、可愛い。じゃあ、私に教えてほしいことは、ありますか？」

玲奈さんの言葉は、悠馬の心に火をつけた。彼女の優しさ、そして大胆さ。悠馬は、玲奈さんの手を取り、震える声で言った。

「あの…その…」

玲奈さんは、悠馬の様子を見て、優しく微笑んだ。そして、悠馬の顔を両手で包み込み、その唇にそっと触れた。悠馬は、生まれて初めてのキスに、全身が震えた。

玲奈さんは、悠馬を優しくリードした。彼女の経験豊富で、大胆なリードに、悠馬はただ身を任せるしかなかった。玲奈さんは、悠馬にコンドームの着け方から、一つ一つ丁寧に教えてくれた。その一つ一つの仕草が、悠馬の心を蕩かした。

「大丈夫、怖がらないで。ゆっくり、ゆっくりね。」

玲奈さんの優しい声が、悠馬の耳元で響く。悠馬は、玲奈さんの温かい体温を感じながら、初めての経験に戸惑いと興奮を同時に感じていた。

玲奈さんの肌は、滑らかで、温かかった。悠馬は、玲奈さんの色気に、理性と本能の間で揺れ動いていた。玲奈さんは、悠馬の戸惑いを察し、さらに優しく、そして情熱的に悠馬を導いた。

その夜、悠馬は、玲奈さんと初めての夜を過ごした。それは、悠馬にとって、一生忘れられない、衝撃的で、そして甘美な体験だった。玲奈さんの優しさ、大胆さ、そして何よりも、悠馬を包み込むような愛情に、悠馬は深く感動した。

しかし、悠馬は、この関係が長続きしないことを悟っていた。玲奈さんは、健太の妻なのだ。この禁断の果実を、いつまでも味わい続けることはできない。

数日後、悠馬は玲奈さんに連絡を取った。

「玲奈さん、あの夜のこと…」

「ふふ、覚えてますよ。佐伯さん、すごく可愛かった。」

玲奈さんの声は、いつも通り優しかった。

「あの…僕、玲奈さんのこと、好きになっちゃったかもしれません。」

悠馬の言葉に、玲奈さんは少し間を置いてから、静かに言った。

「佐伯さん、ありがとう。でも、私は健太の妻です。この関係は、ここまでにしましょう。」

玲奈さんの言葉に、悠馬は胸が締め付けられるような思いがした。しかし、彼女の決断を尊重するしかない。

「わかりました。玲奈さん、今まで本当にありがとうございました。」

「いいえ。佐伯さん、これから、もっと素敵な恋愛ができるといいですね。」

玲奈さんの言葉は、悠馬の心に温かく響いた。

その後、悠馬は玲奈さんとは連絡を取らなくなった。しかし、玲奈さんとの出会いは、悠馬の人生に大きな影響を与えた。玲奈さんとの経験を通して、悠馬は自分自身が変わったことを実感していた。女性に対する恐れや臆病さは、少しずつ薄れていった。

ある日、悠馬は大学時代の友人とカフェで会っていた。友人から、合コンの話を聞いた。

「佐伯もそろそろ彼女作らないとな！」

友人に言われ、悠馬は少し照れながらも、以前よりも自信を持った表情で答えた。

「うん、そうだな。今度、行ってみようかな。」

悠馬の心には、玲奈さんとの甘く、そして切ない思い出が、これからもずっと glowing memories として残るだろう。そして、その経験は、悠馬がこれから歩む、新たな恋愛への扉を開く、かけがえのない光となっていた。