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## 華麗なる終焉

スポットライトが静かに消え、会場の熱狂が遠ざかる。トロイとナオミ、今、ハリウッドで最も輝く星たちが、ようやく二人だけの空間に身を置いた。指先が触れ合うだけで、稲妻が走るような刺激が全身を駆け巡る。カメラのフラッシュ、記者の質問、そういった外界の喧騒は、もはや遠い過去の出来事のようだった。

「はぁ…」

ナオミは、トロイの胸に顔を埋め、かすかに息を吐いた。リハーサルとインタビュー、そしてファンサービス。午前中から続く怒涛のスケジュールは、二人の体力を容赦なく奪い去っていた。しかし、それ以上に、互いを求める熱が、疲労さえも麻酔していく。

「大丈夫？疲れてる？」

トロイは、ナオミの髪を優しく撫でながら、心配そうに問いかけた。その声には、俳優としてのクールな表情とは裏腹な、温かい優しさが滲んでいた。

「大丈夫…でも、ちょっと…」

ナオミは、顔を上げ、トロイの瞳を見つめた。その瞳には、言葉にならない熱情と、これから訪れるであろう恍惚への期待が宿っていた。トロイもまた、同じ熱をナオミの瞳に映し出し、二人の視線が絡み合った瞬間、沈黙の中に漲るものが、言葉以上の誓いとなった。

「もう、我慢できない」

トロイの呟きは、ナオミの耳朶をくすぐり、彼女の体に微かな戦慄を走らせた。トロイの唇が、ナオミの頬を滑り、顎を伝って、繊細な首筋へと向かう。ナオミは、その熱に身を任せ、目を閉じた。

「トロイ…」

彼女の甘い吐息が、トロイの肌に触れた。トロイは、ナオミの細い指を絡め取り、その手を自身の胸に引き寄せた。指先から伝わる確かな鼓動が、二人の高鳴る心臓の音と重なる。

「ナオミ…君のその瞳を見るたびに、俺は…」

トロイは、言葉を詰まらせ、ナオミの顔を抱きしめた。そのまま、甘く、深く、唇を重ねる。それは、演技ではない。計算されたものでもない。ただ、純粋に、互いを求め合う、本能的な衝動だった。

インタビューで着ていた、装飾過多な衣装は、もはや邪魔なだけだった。トロイの指が、ナオミのドレスのチャックに触れる。カチリ、と乾いた音が響き、柔らかな生地が肌へと滑り落ちていく。ナオミの白い肌が露わになるたび、トロイの呼吸は荒くなる。

「綺麗だ…」

トロイは、ナオミの肩に顔を埋め、うっとりと呟いた。ナオミもまた、トロイのジャケットに手をかけ、そのボタンを一つずつ外していく。互いの肌が触れるたび、熱は増していく。

「さっきまで、あんなにたくさんの人に囲まれてたのにね」

ナオミは、息を弾ませながら、冗談めかして言った。

「でも、今、俺の世界には君しかいない」

トロイは、ナオミの腰を抱き寄せ、部屋の中央へと誘うように歩き出した。そこは、豪華なソファがあったり、大きな窓から夜景が見えたりする、彼らのためのプライベート空間だった。しかし、今、彼らの視界に映るもの全てが、ただの障害物へと変わっていた。

「ねぇ、トロイ…」

ナオミは、トロイの腕の中で、身をよじった。その仕草だけで、トロイは彼女の欲求を理解する。

「ここで？もう、我慢できない？」

トロイは、悪戯っぽく微笑んだ。ナオミは、その微笑みに応えるように、トロイの首に腕を回す。

「あなたといると、いつも、こうなっちゃうんだから」

二人は、もはや、この高まる感情を抑える気はなかった。いや、抑えることなど、不可能だった。

トロイは、ナオミの背中を滑るように手を下ろし、彼女のヒップへと導いた。ナオミは、その手に身を委ね、トロイに引き寄せられるまま、彼の体へと密着した。

「トロイ…もっと…」

ナオミの喘ぎ声が、部屋に響き渡る。トロイは、彼女の言葉に応えるように、彼女の肌にキスを落とし、その柔らかな曲線に沿って、熱を帯びた唇を滑らせていく。

「君は、俺の全てだ…」

トロイの低く掠れた声が、ナオミの鼓膜を震わせた。ナオミは、トロイの肩に顔を埋め、その胸に泣きそうなほど強く抱きついた。

「あなたも…」

二人の息遣いが、急速に激しくなっていく。もう、言葉は不要だった。互いの熱、互いの鼓動、互いの体温だけが、二人の世界を支配していく。

トロイは、ナオミを抱き上げ、まるで女王を抱き上げるように、その体を持ち上げた。ナオミは、トロイの首に腕を絡め、その肩に顔を埋めた。

「どこへ…？」

ナオミは、かすかに問いかけた。

「君が、一番心地よい場所へ」

トロイは、そう言うと、部屋の隅にある、ふかふかのカーペットへと向かった。そこは、贅沢な調度品に囲まれた、広々とした空間だった。

トロイは、ナオミをゆっくりとカーペットの上に下ろした。二人は、互いの服を乱暴に脱ぎ捨て、肌と肌が触れ合う。照明が、彼らの輝く肌を照らし出し、まるで彫刻のような肉体が浮かび上がった。

「トロイ…」

ナオミは、トロイの顔を見つめ、その唇に、熱いキスを落とした。トロイもまた、ナオミの腰を抱き寄せ、その体をさらに密着させる。

「ナオミ…」

二人の喘ぎ声は、もはや、愛の囁きと区別がつかないほどに混ざり合っていた。

「このまま…ずっと…」

ナオミの言葉が、途切れた。トロイは、彼女の言葉に、さらに強く抱きしめ、そして、二人は、床の上で、一つになった。

それは、華麗な舞台の幕が下りた後の、最も官能的で、最も愛に満ちた、二人の夜の始まりだった。インタビューの華やかさも、観衆の熱狂も、今や遠い過去の出来事。そこにあるのは、ただ、互いを求め合い、互いを満たす、二人の人間だけだった。

光と影が交錯する部屋の中で、二人の身体は、まるで一つの生き物のように、激しく、そして情熱的に絡み合っていた。吐息が重なり、肌と肌が触れ合うたびに、新たな火花が散る。それは、計算された演技ではなく、本能に突き動かされる、純粋な愛情の表現だった。

「トロイ…！」

ナオミの甘く切ない声が、部屋に響く。トロイは、彼女の背中を優しく撫で、その耳元で囁いた。

「君は、俺の全てだ。この瞬間も、永遠も…」

二人の身体は、ますます激しく動き、まるで嵐のように、互いを求め合った。汗が肌を滑り、吐息が熱を帯びる。その中で、彼らは、互いの存在を、肌で、心で、魂で感じ合っていた。

そして、ゆっくりと、しかし確実に、二人の身体は、最高潮へと達していく。それは、まるで、夜空に咲き誇る花火のように、鮮やかで、そして一瞬の輝きだった。

「ああ…！」

ナオミの叫び声が、部屋に響き渡り、トロイの胸に顔を埋めた。トロイもまた、彼女の背中を強く抱きしめ、その高揚感に身を任せた。

やがて、嵐は静まり、二人の身体は、疲労と満足感に満たされ、床に横たわった。互いの髪を梳き、肌に触れる。その穏やかな静寂の中に、二人の絆は、より一層深まっていた。

「…終わっちゃったね」

ナオミは、かすかに微笑んで言った。

「でも、これは、始まりだ」

トロイは、ナオミの額にキスを落とし、優しく抱きしめた。

スポットライトが消え、熱狂が去っても、二人の心には、熱い炎が燃え続けている。それは、この夜、床の上で誓い合った、永遠の愛の証だった。