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## 砂塵と熱情：ケンジーとダスティンの夜

テキサスの乾いた風が、埃っぽいバーの扉を軋ませながら吹き込んだ。その風に乗って、ダスティンの陽気な南部訛りの英語が店内に響き渡る。「ヘイ、ベイビー、今夜は俺と踊るかい？」

バーテンダーとしてカウンターの奥でグラスを磨いていたケンジーは、ため息をついた。ダスティン。この男は、彼女にとって疫病神であり、抗いがたい魅力の塊だった。黒髪は無造作に流され、浅黒い肌には男らしい髭が蓄えられている。その瞳は、まるで砂漠の空のように深く、どこか人を試すような光を宿していた。ワイルド系イケメン、というのはまさに彼のことを指すのだろう。

「ケーンジー、いつになったら俺の誘いに乗ってくれるんだ？このままじゃ、俺のハートも乾ききっちまうぜ。」ダスティンはカウンターに肘をつき、ニヤリと笑った。その笑顔は、ケンジーの心をかき乱す。何度断っても、彼は諦めない。そのしつこさすら、ケンジーにとっては一種の愛情表現のように感じられるようになっていた。

「ダスティン、あなたはいつもそう。私の時間を無駄にするのが好きみたいね。」ケンジーは皮肉を込めて言い返したが、その声には微かな笑いが混じっていた。

「無駄？いやいや、ケンジー、俺との時間は決して無駄なんかじゃねえ。むしろ、君にとって最高のご褒美さ。ほら、今夜は特別だ。約束する。」ダスティンはそう言うと、ケンジーに手を差し出した。

ケンジーは迷った。この男は、予測不能な行動でいつも彼女を驚かせる。けれど、その瞳の奥に宿る情熱に、彼女はいつも心を奪われてしまうのだ。彼女は意を決して、ダスティンの手に自分の手を重ねた。

「…いいわ。でも、もし私が退屈したら、すぐに帰るから。」

「心配いらねえ。君を退屈させるなんて、俺の辞書にはねえんだ。」ダスティンはケンジーの手を掴んだまま、彼女をバーの片隅に置かれたビリヤード台へと誘った。

ビリヤード台は、このバーの主役と言える存在だった。古びた緑のフェルトには、無数の傷跡が歴史を物語っている。ダスティンは、チョークを手に取り、ワイルドな手つきでキューを構えた。

「さあ、ケンジー、まずはこの玉を落としてみろ。俺の心に君が入ってくるように、狙いを定めて…」

ダスティンは、ビリヤードの玉を落とすように、ケンジーの心を弄び始めた。最初は、玉を転がすように、言葉巧みに彼女をからかう。ケンジーの頬は、彼の言葉に赤く染まっていく。

「おいおい、そんなに顔を赤くしてどうした？俺の愛の言葉にドキドキしてるのか？」ダスティンは楽しそうに笑い、ケンジーの顎を指でくいっと持ち上げた。

「うるさいわね！あなたこそ、そんなに調子に乗ってると、痛い目を見るわよ。」ケンジーはそう言いながらも、ダスティンの挑発に乗ってしまった。

ダスティンは、ビリヤード台の端に座り、ケンジーに手招きした。「さあ、次は君の番だ。俺が優しく教えてやるから、遠慮なく来いよ。」

ケンジーは、ダスティンが促すように、ビリヤード台の周りを歩き回る。ダスティンは、彼女が動くたびに、その視線で追いかけた。まるで、獲物を狙う捕食者のように。

「おっと、危ない危ない。そんなに急いでたら、台から落ちちまうぜ？」ダスティンは、ケンジーが躓きそうになると、素早く手を伸ばして支えた。その手は、驚くほど力強く、そして温かかった。

「…ありがとう。」ケンジーは、彼の手に支えられながら、顔を上げた。ダスティンの瞳は、先ほどよりもさらに情熱を帯びていた。

「礼はいらねえ。俺はただ、君が安全でいてほしいだけさ。まあ、俺の手の中にいれば、どんな危険も回避できるぜ。」ダスティンは、そう言ってケンジーを優しく引き寄せた。

ビリヤード台の上で、二人の距離は急速に縮まっていく。ダスティンは、テーブルの上の玉を指で弾き、その音に合わせてケンジーに囁いた。「この玉のように、俺たちはどこまでも転がっていくんだ。二人で、どこまでも…」

ケンジーは、ダスティンの言葉に酔いしれていた。彼の指先が、彼女の肌をなぞる。その感触は、ビリヤードの玉とは比べ物にならないほど、熱かった。

「ダスティン…」ケンジーが彼の名前を呼ぶと、ダスティンはニヤリと笑った。

「ああ、ケンジー。俺を呼んだか？俺はいつも君のそばにいるさ。このバーのどこにいても、俺の心は君のものだ。」

ダスティンは、ビリヤード台の端に腰掛けたまま、ケンジーにさらに近づいた。そして、彼女の首筋に顔を埋めた。

「うーん、君の匂いは最高だな。まるで、テキサスの砂漠に咲いた、一輪の花のようだ。」ダスティンは、子供のように無邪気にそう言った。

ケンジーは、彼の熱い息遣いを首筋に感じながら、身を震わせた。ダスティンは、彼女の反応を見て、さらに大胆になった。

「さあ、ケンジー、俺を驚かせてみろよ。君の可愛い顔で、俺をどうにかしてみせろ。」

そして、ダスティンは、ケンジーにとって、そしておそらく彼自身にとっても、初めての挑戦を口にした。

「俺は、今から君に、顔面騎乗を仕掛ける。いいか、ケンジー、俺の顔を、君のその可愛いお尻で、思いっきり叩いてみろ。」

ケンジーは、その言葉に驚き、そして興奮した。ダスティンは、いつも彼女の予想を超える。そして、その予想を超えた行動こそが、彼女を惹きつけてやまないのだ。

「…本気で言ってるの？」ケンジーは、期待と不安の入り混じった声で尋ねた。

「ああ、本気さ。俺は、君の力強い愛を受け止めたいんだ。さあ、ケンジー、俺を感動させてみろ。」ダスティンは、そう言って、顔をケンジーの方へと向けた。

ケンジーは、ダスティンの顔をじっと見つめた。彼の瞳には、迷いのない、純粋な情熱が燃えている。彼女は、もう迷うことはなかった。

「いいわ、ダスティン。あなたなら、どんな私でも受け止めてくれるのでしょう？」

ケンジーは、そう言うと、ゆっくりとダスティンの方へと近づいた。そして、ビリヤード台から身を乗り出した。

ダスティンは、ケンジーのその大胆な行動に、目を輝かせた。「そうこなくっちゃ！最高だよ、ケンジー！」

ケンジーは、ダスティンが顔を向けたまま、ゆっくりと、しかし力強く、彼の上に座った。ダスティンは、その重みを全身で受け止めながら、恍惚とした表情を浮かべている。

「おお…！ケンジー、君は本当にすごいな！まるで、嵐のようだ！」ダスティンは、震える声でそう言った。

ケンジーは、ダスティンの反応に、さらに大胆になった。彼女は、ダスティンの頬を両手で包み込み、そのまま、ゆっくりと、しかし力強く、彼のお尻で顔面を叩いた。

「ドシン！」

鈍い音が、バーの静寂を破った。ダスティンは、その衝撃に、息を呑んだ。しかし、その顔には、苦痛の表情ではなく、満面の笑みが浮かんでいた。

「ハハハ！最高だ！ケンジー、君は本当に最高だ！俺は今、世界で一番幸せな男だ！」ダスティンは、顔を叩かれながらも、興奮で声を震わせた。

ケンジーは、ダスティンのその無邪気な喜びを見て、自分もまた、この瞬間を心から楽しんでいることに気づいた。彼の顔面騎乗という、一見荒々しい愛情表現は、彼女にとって、彼からの最大限の愛情の証だった。

「ダスティン…」ケンジーは、そう囁くと、ダスティンの顔に、優しくキスをした。

バーの片隅で、ビリヤード台の上で、砂塵と熱情が混じり合い、二人の夜は、さらに深く、官能的なものへと変わっていった。ダスティンは、ケンジーのこの大胆な行動に、大喜びだった。そして、ケンジーもまた、ダスティンという、予測不能で、けれど愛情深い男に、心を奪われ続けていた。この夜は、二人の記憶に、鮮烈な一ページとして刻み込まれることだろう。