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## 桃色の裏垢

17歳の七瀬凛は、クラスではどちらかといえば目立たない存在だった。金髪ツインテールに派手なメイクで目立つ女子、あるいは常に陰に潜む極度の内気な女子、そんなタイプとは一線を画す、どこにでもいる普通の女子高生。茶色く染めた髪を肩まで伸ばし、ナチュラルメイクで、無難な服を着ている。誰からも嫌われていないけれど、誰からも特別に好かれるわけでもない。そんな凛の日常は、まるで白黒写真のように淡々と流れていく。

しかし、その白黒写真の裏には、鮮やかな桃色の世界が広がっていた。

凛のスマホには、ふたつのアカウントが存在した。ひとつは、友達との連絡や近況報告に使われる普通のアカウント。もうひとつは、彼女の秘密の、桃色の裏垢だ。そこには、普段の凛からは想像もつかないような写真やメッセージが溢れていた。

凛の売りは、むちむちとした太ももと、それに繋がる巨尻だった。決して華奢ではない、むしろ健康的で、力強ささえ感じさせるその肉体は、一部の男たちを狂わせる魅力を持っていた。そして、その肉体の持ち主である凛は、顔はロ○顔と言われる可愛らしい顔立ちなのに、下半身は驚くほど官能的な、上級者向けのエロさを秘めていた。

援交を始めたきっかけは、些細な出来事だった。親友の誕生日プレゼントを買うお金が足りず、衝動的に援助交際サイトに登録した。最初は抵抗もあったが、予想外に高額な報酬に驚く一方、初めての経験への緊張と、抑えきれない好奇心が混ざり合った複雑な感情に苛まれた。

最初の相手は、年齢不詳の太った男性だった。しかし、彼の言葉遣いは意外にも丁寧で、凛の身体を丁寧に扱った。意外にも、その経験は、決して不快なものではなかった。むしろ、普段の生活では味わえないような、高揚感と解放感に満たされた。

それからというもの、凛は徐々に援交に慣れていった。最初は緊張していたが、次第に相手の男性を操ることに快感を覚えるようになった。自分の身体で相手を翻弄し、ため息をつかせ、言葉にならないうめき声を聞かせる。その反応が、凛の自信へと繋がっていった。

最初は一人ずつだった相手も、いつしか複数になった。二股、三股…そして、気がつけば、四股、つまり4Pまで経験していた。最初は戸惑いもあったが、複数の男性に同時に囲まれ、身体中を弄ばれる快感に、凛は抵抗を感じなくなっていた。まるで、自分自身の身体が、欲望の奔流に飲み込まれるような感覚だった。

桃色の裏垢には、そんな経験の記録が写真や動画として残されていた。匿名掲示板で出会った男たちとの、官能的なやり取り。高級ホテルの一室で、複数の男性に囲まれて陶酔する凛の姿。それらは、普段の凛の生活とは全く異なる、艶めかしい世界を垣間見せていた。

しかし、凛は決して幸せではない。

援交で得た金は、贅沢品を買うためでも、特別な場所へ行くためでもなかった。洋服や化粧品、そして、ゲームソフトを買うため、それだけが目的だった。そして、その行為自体に快感を感じているのは事実だが、同時に罪悪感と不安にも苛まれていた。

「いつバレるんだろう…」

凛は、常にそんな恐怖を抱えながら生きていた。友達には秘密にし、両親にも気づかれないように振る舞う。その二重生活のプレッシャーは、日増しに大きくなっていった。

ある日、凛は桃色の裏垢に、これまでで一番過激な写真を投稿した。それは、複数の男性に囲まれ、全身を弄ばれている写真だった。その写真には、凛の表情が写っていた。それは、決して快楽に酔っている顔ではなく、どこか虚ろで、悲しげな表情だった。

その写真に、一つのコメントが書き込まれた。

「綺麗だね。でも、もっと幸せになって欲しい。」

その言葉が、凛の心を突き刺した。

凛は、自分のしていることが、本当に正しいことなのか、初めて真剣に考え始めた。桃色の裏垢に隠された、自分の本当の気持ちに向き合う時が来たのだった。白黒写真のような平凡な日常と、桃色の裏垢の世界の間で、凛は葛藤し、揺れ動きながら、自分の未来を探し始める。  その未来が、桃色の世界から卒業できる未来なのか、それとも、もっと深くその世界に堕ちていく未来なのか…  答えはまだ、見ぬままだった。