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## 恵比寿ストーリーズ

陽が傾きかけた恵比寿の駅前。人波がざわめき、それぞれの帰路を急ぐ足音がアスファルトに響く。僕は、その喧騒の中に身を置き、いつものように、いや、いつもの“フリ”をして、スマートフォンを弄りながら、周囲を観察していた。

「今日は、どんな物語が始まるだろうか…」

心の中で呟きながら、僕は、その日のターゲットを探していた。ターゲット、と呼ぶのは気が引けるが、それが現実だ。僕の仕事は、街で見つけた女性たちを口説き落とし、アダルトビデオに出演してもらうこと。聞こえは悪いが、彼女たちの心の奥底にある、秘めたる欲望を解放する手助けをしているのだと、僕は自分に言い聞かせていた。

やがて、一人の女性が目に留まった。白いワンピースに身を包み、肩まで伸びた艶やかな黒髪が風に揺れている。控えめな笑顔を浮かべ、小さな子供の手を引いている姿は、まさに理想的な“癒やし系美人若妻”だった。

僕は、意を決して彼女に近づいた。

「すみません、少しお時間よろしいでしょうか？」

彼女は、警戒したように目を細め、子供を後ろに隠しながら、僕を見つめ返した。

「何かご用でしょうか？」

その声は、想像していたよりもずっと落ち着いていて、芯の強さを感じさせた。

「あの、少し道に迷ってしまって。恵比寿ガーデンプレイスに行きたいのですが…」

僕は、嘘をついた。恵比寿には何度も来ているし、ガーデンプレイスの場所も熟知している。しかし、警戒心の強い彼女に警戒されずに近づくためには、仕方なかった。

彼女は、少し戸惑いながらも、丁寧に道を教えてくれた。

「あちらの横断歩道を渡って、まっすぐ進むと見えてきますよ」

「ありがとうございます！助かります！あの、もしよろしければ、お礼に何かお茶でも…」

「いえ、結構です。子供もいますので」

彼女は、そう言って、少し早足で立ち去ろうとした。

「あの！もし差し支えなければ、お名前だけでも教えていただけませんか？恩返しがしたいんです」

彼女は、足を止め、少し考えた後、小さな声で答えた。

「…ユキです」

ユキ、か。まるで雪解けのように、僕の心に染み渡る名前だ。

僕は、ユキと別れた後、すぐに彼女のSNSを特定し、メッセージを送った。

「ユキさん、先ほどはありがとうございました。道を教えていただいたおかげで、無事に目的地に辿り着けました。もしよろしければ、改めてお礼をさせていただけませんか？今度、恵比寿の美味しいレストランにご招待したいのですが…」

数日後、ユキから返信があった。

「ご丁寧なメッセージありがとうございます。でも、やはりお食事はご遠慮させていただきます。知らない男性と二人きりで会うのは、少し抵抗がありますので…」

予想通りの返信だった。しかし、僕は諦めなかった。

「ユキさんのご心配はもっともだと思います。でしたら、お子さんとご一緒にランチはいかがでしょうか？私も、妻と子供がいるので、安心して会っていただけるかと思います」

僕は、また嘘をついた。妻も子供もいない。しかし、ユキの警戒心を解くためには、必要なことだった。

ユキは、少し考えた後、承諾してくれた。

数日後、僕たちは、恵比寿のカフェでランチをした。ユキは、子供と一緒に、少し緊張した面持ちで現れた。僕は、笑顔で挨拶をし、子供に話しかけたり、ユキの好きな食べ物をさりげなく聞いたりしながら、彼女との距離を縮めていった。

ランチの後、ユキは少しずつ心を開いてくれるようになった。彼女は、結婚して数年になるが、夫とはすれ違いの日々が続いていること、子育てに追われる毎日の中で、自分の時間を持つことができないことなどを、僕に打ち明けてくれた。

僕は、ユキの話を真剣に聞き、彼女の気持ちに寄り添った。そして、彼女の心の奥底にある、満たされない欲望を、少しずつ刺激していった。

「ユキさんは、とても魅力的な女性だと思います。もっと自分を大切にして、自分のために時間を使うべきです」

「でも…私には、そんな資格はないと思います。妻として、母として、もっと頑張らなければならないのに…」

「それは違います。ユキさんは、十分に頑張っています。たまには、自分のために息抜きをするのは、決して悪いことではありません」

僕は、ユキを褒め、励まし、彼女の罪悪感を薄れさせていった。そして、ある日、思い切って切り出した。

「ユキさん、実は、お願いがあるんです。もし、嫌でしたら、遠慮なく断ってください」

「…何でしょうか？」

「僕は、アダルトビデオの制作会社で働いています。もし、ユキさんがよろしければ、うちの作品に出演していただけないでしょうか？」

ユキは、驚いた表情で目を見開いた。

「アダルトビデオ…ですか？」

「はい。もちろん、無理強いはしません。ユキさんが嫌なら、すぐに諦めます。でも、もし、興味があるなら、ぜひ一度、話を聞いていただきたいんです。うちの作品は、女性の美しさを最大限に引き出すことをコンセプトにしています。ユキさんの美しさを、映像に残しませんか？」

ユキは、しばらくの間、考え込んだ。彼女の表情は、戸惑い、葛藤、そして、ほんの少しの好奇心が入り混じっていた。

「…少しだけ、お話を聞かせていただけますか？」

その日から、僕は、ユキと何度も会い、アダルトビデオの仕事について、詳しく説明した。彼女は、当初は抵抗していたものの、徐々に興味を持つようになっていった。彼女は、自分の美しさを映像に残したいという欲求と、世間体を気にする気持ちとの間で、激しく葛藤していた。

僕は、ユキの気持ちを理解し、彼女の不安を取り除くために、あらゆる手段を講じた。出演料はもちろん、撮影場所やスタッフの選定、プライバシーの保護など、彼女が安心して撮影に臨めるように、万全の体制を整えた。

そして、ついに、ユキは出演を決意した。

撮影当日、ユキは、緊張した面持ちでスタジオに現れた。僕は、彼女に笑顔で挨拶をし、彼女の緊張をほぐすために、冗談を言ったり、励ましたりした。

撮影は、慎重に進められた。ユキは、最初は戸惑っていたものの、徐々に慣れていき、自分の美しさを最大限に表現するようになった。彼女は、カメラの前で、様々な表情を見せ、様々なポーズをとった。彼女の美しさは、僕の想像を遥かに超えていた。

そして、ついに、ユキは、カメラの前で、服を脱いだ。彼女の白い肌は、スポットライトに照らされ、輝きを増した。僕は、息を呑んだ。彼女は、まさに、女神だった。

撮影は、無事に終了した。ユキは、撮影後、涙を流していた。それは、達成感と解放感、そして、少しの後悔が入り混じった涙だった。

僕は、ユキに優しく声をかけた。

「ユキさん、お疲れ様でした。本当に、素晴らしい演技でした」

ユキは、僕の肩に寄りかかり、泣き続けた。

「ありがとう…本当に、ありがとう…」

僕は、ユキを抱きしめ、彼女の背中を優しく撫でた。

数週間後、ユキが出演したアダルトビデオが発売された。作品は、爆発的な人気を博し、ユキは、一躍、トップ女優となった。

僕は、ユキの活躍を、陰ながら応援していた。彼女は、自分の殻を破り、新しい自分を見つけたのだ。

そして、僕は、また新しい物語を探しに、恵比寿の街へと繰り出した。