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「生ハメ昏○セックスの世界へ、ようこそ。」

その言葉は、闇の奥底から響く呪文のように、私の心をざわつかせた。住宅街にひっそりと佇むそのクリニックの名前は、誰もが知るような有名な場所ではなかった。むしろ、隠された秘密の扉のような響きを持っていた。

私の名は、冴島アカリ。美容整形クリニック「シルク・ヴェール」に通う、どこにでもいる普通の会社員だ。最近、顔のたるみが気になり始めた私は、友人の紹介でこのクリニックを知った。高級感のある内装と、何よりも低価格で質の高い施術を受けられるという評判に惹かれたのだ。

初回のカウンセリングは、院長の五十嵐医師が担当してくれた。彼は温厚で、穏やかな笑顔をたたえた中年男性だった。私の悩みを聞きながら、丁寧に説明をしてくれる姿勢に、私はすっかり心を許してしまった。「アカリさんのお肌はとても綺麗ですが、確かにこの辺りに少しハリがなくなってきていますね。今回は、最新の糸リフトとヒアルロン酸注入を組み合わせたスペシャルコースはいかがでしょう？」

彼の言葉は、私のコンプレックスを優しく包み込んでくれた。私は迷わず、そのスペシャルコースをお願いすることにした。

施術当日のことだった。クリニックは静寂に包まれていた。受付で名前を告げると、看護師に促され、施術室へと案内された。リクライニングチェアに座り、私は緊張と期待で胸を高鳴らせていた。

「では、まずリラックスしていただくためのお薬を飲んでいただきますね。これは少し眠気を誘うお薬ですが、ご安心ください。すぐに効いてきますから。」

看護師が差し出した小さなグラスの中には、透明な液体が入っていた。甘い香りが鼻腔をくすぐる。私は疑いもなくそれを飲み干した。

数分も経たないうちに、私の体に異変が起こり始めた。まず、体の力が抜けていくような感覚。次に、まぶたが重くなり、意識が遠のいていく。まるで深い眠りに落ちていくような心地よさ。そして、私は完全に意識を失った。

次に意識が戻った時、私は自分がベッドの上に横たわっていることに気づいた。体は妙にだるく、頭がぼんやりしていた。自分が何をされたのか、すぐに理解できなかった。

「アカリさん、気分はどうですか？」

いつの間にか、五十嵐医師が私の傍らにいた。彼の顔には、いつもの穏やかな笑顔があった。

「はい、少し眠かったですが、大丈夫です。」

私は笑顔で答えたが、体の奥底に潜む奇妙な感覚に気づいていた。それは、言葉にできない不快感であり、かすかな恐怖でもあった。

その後、私は数回このクリニックに通った。毎回、施術の前にあの薬を飲まされた。そして、毎回、意識を失った。クリニックを出る時には、なぜか体の奥底に奇妙な感覚が残っていた。それは、以前にはなかった、しかしどこか惹かれるような、背徳的な感覚だった。

ある日、クリニックのウェブサイトを偶然見ていた私は、ある書き込みに目が止まった。「シルク・ヴェール、ヤバい。マジで医者が変態すぎる。患者を意識不明にして、やりたい放題やってるらしい。」その書き込みは匿名だったが、あまりにも具体的にクリニックの状況を描写していたため、私の心臓は嫌な音を立てた。

その夜、私は眠れなかった。あの薬、そして体に残る奇妙な感覚。すべてが、あの書き込みと結びついてしまった。私は、恐ろしい想像に囚われた。

「まさか…。」

私はすぐに、インターネットで「シルク・ヴェール」「五十嵐医師」「薬」といったキーワードで検索を始めた。そして、衝撃的な情報を次々と見つけることになった。

「シルク・ヴェールの過去の評判に、不審な書き込みが多い。」
「患者への過剰な鎮静剤投与の疑い。」
「元スタッフの告発で、院長が変態的な行為を繰り返しているという証言も。」

それらは断片的な情報だったが、確実にあのクリニックと五十嵐医師に繋がるものだった。私は、自分がとんでもない事態に巻き込まれていることを悟った。

私は、どうしても確認しなければならないことがあると感じた。それは、恐怖心を掻き立てる問いでもあったが、同時に、自分自身の身を守るための行動でもあった。

次回の予約日まで、私は眠れない日々を過ごした。その間、私は勇気を振り絞り、過去にこのクリニックに通っていたという人物を探し出した。彼女は、私が偶然見つけた書き込みの投稿者だった。

「あなたは、本当に、五十嵐医師に…そんなことをされたんですか？」

震える声で、私は彼女に問いかけた。彼女は、うつむきながら、静かに頷いた。彼女の話は、私の想像を遥かに超えるものだった。五十嵐医師は、患者が意識を失っている間に、信じられないような行為を繰り返していたという。それは、単なる性的倒錯ではない、悪質で犯罪的な行為だった。

私は、あの甘い香りのする薬が、私の意識を奪い、自由を奪っていたのだと理解した。それは、顧客を装った、巧妙な性的暴力だった。

翌日、私は意を決して「シルク・ヴェール」へと向かった。しかし、私の目的は施術を受けることではなかった。私は、警察に相談するための証拠を集めることにした。彼女の話を聞いた私は、自分自身がどのような被害を受けているのか、それを明確に認識したのだ。

受付で予約の有無を尋ねられた私は、冷静を装って「予約はありませんが、院長にご相談したいことがあります」と伝えた。看護師が奥にいる五十嵐医師に声をかけに行った。

数分後、五十嵐医師が私の前に現れた。彼の顔には、いつも通りの穏やかな笑顔があった。しかし、その笑顔の裏に隠された闇を、私はもう見抜いていた。

「アカリさん、どうされましたか？」

彼は優しく尋ねた。私は、震える声で、しかし決意を込めて言った。

「院長、私は警察に通報しに来ました。」

私の言葉に、五十嵐医師の笑顔が凍りついた。彼の目が、かすかに見開かれた。

「…どういうことですか？」

彼は平静を装おうとしたが、その声には明らかに動揺が滲んでいた。

「あなたは、患者に薬を飲ませて、意識を奪い、犯しているのでしょう？それは犯罪です。」

私の言葉は、静寂を破るように響き渡った。クリニックの中にいた他のスタッフたちが、一斉にこちらを見た。

五十嵐医師は、一瞬言葉を失った後、怒りをあらわにした。

「何を言っているんですか！あなたは、ただのクレーマーだ！」

彼は感情的に言い放った。しかし、私はもう彼に怯えることはなかった。私は、この闇を一人でも多くの人に知らせなければならないと思った。

私は、持っていたスマートフォンを彼に向け、録音を開始した。

「クレーマーだと言われましても、院長。私は真実を訴えているだけです。あなたの行為は、多くの女性を傷つけている。」

「黙らっしゃい！証拠でもあるのか！」

「ええ、あります。私だけではありません。あなたに苦痛を与えられた人は、他にもいるんです。」

私は、友人の投稿者と連絡を取り、彼女も警察に相談していることを伝えた。それは、五十嵐医師にとって、致命的な情報だった。彼の顔色は一気に青ざめた。

「私は、このクリニックのすべての患者の権利を守るために、ここにいます。」

私は、確固たる意志を持って彼に告げた。彼の顔から、完全に笑顔は消え失せていた。代わりに、そこにあったのは、罪悪感と恐怖に歪んだ顔だった。

結局、私は警察に連絡し、詳細な状況を説明した。彼女もまた、私の後を追って警察に届け出を出した。数日後、「シルク・ヴェール」は家宅捜索を受け、五十嵐医師は逮捕された。

あの時、私が感じた恐怖と不快感は、決して気のせいではなかった。それは、彼の犯した罪の証拠だった。あの甘い香りのする薬は、私を夢の世界へと誘うのではなく、悪夢へと引きずり込むための道具だったのだ。

今、私は再びあのクリニックの前を通りかかることがある。しかし、そこにあるのは、以前のような華やかさや魅力ではなく、ただの虚無感と、かすかな悲しみだけだ。住宅街にひっそりと佇むその場所は、闇に隠された悪意が、いかに巧妙に私たちの日常に紛れ込むことができるのかを、静かに物語っている。

私は、あの「シルク・ヴェール」の扉をくぐった日を忘れないだろう。それは、私にとって、恐ろしくも、そして同時に、自分自身の声を聞くことの重要性を教えてくれた、忘れられない経験となった。生ハメ昏○セックスの世界へ、ようこそ。その言葉は、今も私の心に、暗く、しかし確かに、響いている。