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## 密室の蜜月 ～ビジネスホテルの一夜～

ビジネスホテルの一室。薄暗い照明と、どこか無機質な空気が漂う中、男はベッドに寝そべっていた。彼は今日、この部屋に一人の女性を招き入れた。出張メンズエステ。それが、彼がこのサービスを利用する理由のすべてではなかった。

「お待たせいたしました」

ドアが開くと同時に、柔らかな声が響いた。そこに立っていたのは、すらりとした長身に、艶やかな黒髪をまとめた女性だった。清楚なエステティシャンの制服に身を包んでいるが、その曲線美は隠しきれていない。彼女は、彼が期待していた「人妻」だった。

「どうぞ、お入りください」

男は、抑えきれない興奮を隠すように、優しく声をかけた。彼女は微笑み、静かに部屋に入ってきた。その仕草の一つ一つが、洗練されており、男の心をくすぐる。

「本日は、〇〇様のお部屋にお伺いしました、△△と申します。よろしくお願いいたします」

名乗る声は、しかし、どこか張り詰めた響きを帯びているように男には聞こえた。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

男は、彼女に微笑み返しながら、胸の内では様々な憶測を巡らせていた。彼女は人妻。家庭がある。夫は？ 子供は？ そして、なぜ、このような仕事をしているのだろうか。巷で囁かれる「人妻エステティシャンは未婚の女の子よりも性にゆるく狙い目」という噂が、彼の頭の中を駆け巡る。それは、彼女のような女性が、日頃の満たされない渇望を、ここで満たそうとしているのではないか、という甘い誘惑だった。

彼女は、手際よくエステの準備を始めた。アロマオイルの香りが部屋に広がり、非日常的な雰囲気を一層深める。男は、彼女の動きを目で追った。しなやかな背中、細いウエスト、そして、時折見え隠れする肌。そのすべてが、彼を惹きつけた。

「では、始めさせていただきますね」

彼女が、彼の肩に手を置いた瞬間、男の心臓は激しく鼓動した。指先から伝わる温かさ、そして、彼女の吐息が耳元にかかる。それは、単なるマッサージではなかった。男は、確かな意図を感じ取っていた。

「…気持ちいい…」

男は、わざとらしく呻いてみた。彼女は、かすかに微笑むだけだった。その微笑みが、男の欲望をさらに掻き立てる。

「もっと、奥まで…」

男は、肩から背中へと滑る彼女の手を、そのまま腰へと誘導した。彼女の手は、服の上からでも、その柔らかな感触を伝えてきた。

「〇〇様、リラクゼーションには、もう少しお時間が必要です」

彼女の声は、 still calm though, it carried a subtle tremor.

「リラクゼーションだけじゃないんだ」

男は、彼女の言葉を遮り、囁いた。そして、彼女の指先が、首筋に触れる。その瞬間、男は、彼女の指の熱さを感じた。

「…私、普段は…」

彼女は、言葉を詰まらせた。その沈黙が、男には、彼女の秘められた欲望を物語っているように思えた。セックスレス状態。そう、彼女も、きっと満たされていないのだ。

「普段はどうしてるんだい？」

男は、さらに踏み込んだ。彼女は、しばし言葉を失っていたが、やがて、かすかに首を横に振った。それだけで、男は充分だった。

「俺もさ…」

男は、彼女の耳元で囁き、その頬にそっと触れた。彼女は、微かに身を震わせた。抵抗しているのか、それとも、期待しているのか。男には、もう、どちらでもよかった。

「もう、我慢できないよ」

男は、彼女の手を掴み、自分の胸へと引き寄せた。彼女は、抵抗する素振りは見せない。むしろ、その指先が、男のシャツのボタンに触れた。

「…ダメ、ですよ…」

弱々しい声で、彼女は制止しようとした。しかし、その声には、すでに力がなかった。男は、彼女の顔を覗き込み、その唇に自分の唇を重ねた。

彼女は、一瞬、戸惑ったように見えたが、すぐに、その唇を開き、男の舌を受け入れた。それは、まるで、長年待ち望んでいたかのような、熱烈なキスだった。アロマオイルの香りは、もはや、官能的な熱気に変わっていた。

服が、音もなく剥がされていく。彼女の肌が、露わになるたびに、男の呼吸は荒くなる。彼女もまた、男の肌に触れる指先が、徐々に大胆になっていった。

「…だめ…」

漏れる声は、もはや、抵抗の言葉ではなく、快楽の吐息に変わっていた。男は、彼女の体を抱きしめ、ベッドへと倒れ込んだ。

「…あなたも、欲しかったんだろ？」

男は、彼女の耳元で囁いた。彼女は、熱に浮かされたような瞳で、男を見つめ返した。

「…ええ…」

その一言が、男には、解放の合図だった。男は、彼女の体を優しく、しかし、力強く抱きしめた。密室に、熱い吐息と、喘ぎ声だけが響き渡る。

そして、やがて、二人の体は、一つになった。それは、単なる肉体的な交わりではなかった。互いの孤独と、満たされなかった欲望が、ぶつかり合い、溶け合っていく、官能的な時間だった。

男は、彼女の体を激しく揺さぶった。彼女もまた、男の背中を掻きむしり、その快楽に身を委ねた。滴り落ちる汗、乱れる髪、そして、絡み合う指先。すべてが、この密室での出来事が、現実であることを物語っていた。

「…あ…あっ…！」

彼女の叫び声が、部屋に響き渡る。男は、さらに奥へと、深く、深く、抱きしめた。それは、禁断の行為であり、しかし、二人が求めていた、唯一の真実だったのかもしれない。

いつしか、彼女の顔は、快楽に歪み、その瞳は、一点を見つめていた。男もまた、限界を超え、その身を任せた。

その瞬間、部屋の片隅に設置された、小さく、しかし、確かな存在感を放つレンズが、二人の姿を、克明に捉えていた。人妻エステティシャンの、抗しきれなかった情欲。そして、それを引き出した男の、狡猾な企み。すべてが、静かに、しかし、確実に記録されていく。

部屋には、二つの、乱れた呼吸だけが残されていた。窓の外は、すでに夜が更けていた。ビジネスホテルの一室で繰り広げられた、密やかな情事。それは、一人の男の欲望と、一人の女性の、秘めたる渇望が、交差した、刹那的な一夜の物語だった。そして、そのすべては、密かに仕掛けられたカメラによって、永続的な記録となっていた。